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サッカーマガジン 2003年6月24日号
ビバ!サッカー

地域の人との深いつながりを 
ジェフユナイテッドの新講座

 ワールドカップから1年。あの熱狂をなつかしく振り返るだけでなく、いろいろな新しい試みが各地で始まっているのは結構だ。その一つとして、わがビバ!サッカーも、Jリーグのジェフユナイテッドと協力しあって千葉県の船橋で新しい、講座をはじめることにした。 

文化センター京葉で
 すでに何度も紹介しているとおり東京の「読売/日本テレビ文化センター北千住」に「ビバ!サッカー講座」を開設して、まる3年になろうとしている。
 このページの熱心な読者が集まっている研究会のようなもので、2002年には、ワールドカップの前とあとに、1冊ずつ「研究の成果」を本にまとめて出版した。いま3冊目を制作中である。3冊目はJリーグをテーマに地域とサッカーの結びつきを現地で取材してまとめようと狙っている。
 この話を聞いて、千葉県の船橋にある読売/日本テレビ文化センター京葉から「こちらでも、やってみないか」という話が来た。
 これは、ぼくにとっては、やっかいな話である。
 ぼくは兵庫県の加古川市に住んでいるが、東海道新幹線で往復する旅費、交通費は自分持ちである。
 講師謝礼は若干出るが、これは別に銀行の通帳を作って振込んでもらい、みんなで作った本の出版費用の一部にしている。
 というわけで、実質的には、ボランティアで、みんなと楽しんでいるのが実態である。楽しみが増えるのはいいが、持ち出しが、さらに増えるのを覚悟しなければならない。それに同じようなことを首都圏で二つも、三つもやることはない。
 というわけで、船橋のほうには次のように提案した。
 「地元のジェフユナイテッドに講座をやってもらったらどうだろうか。クラブとサポーターを結びつける役にも立つんじゃないか」

クラブとの直接交流
 この提案に文化センターも、ジェフユナイテッドも賛同してくれて、7月〜9月にやってみることになった。北千住のほうは、半年で11回を1期としているが、こちらは「善は急げ」というわけで、学期の途中から3カ月6回で試みにはじめてみることになった。うまくいったら、その後も続けようという魂胆である。
 行き掛り上、ぼくも協力することになった。月2回、北千住は土曜日だが、船橋は金曜の夜にする。そうすればJR東海の新幹線への貢献は増やさないですむ。
 1回2時間の講座のうち、前半をぼくが担当する。これまで北千住でやってきたノウハウを生かして進行係ができればと思っている。
 後半はジェフユナイテッドが担当して毎回、いろいろなスタッフを派遣してくれる。クラブの代表取締役専務の三木博計さんが、経営について説明する。あるいは日本代表のトレーナーだった妻木充法さんが、選手の健康管理について解説する。サッカーカメラマン歴30年の今井恭司さんが「ファインダーから見た選手」を語る。こういうような内容が予定されている。
 これは、クラブとサポーターが顔と顔をあわせて直接、交流するいい機会になると思う。ふつうは、サポーターはスタンドにいて、クラブを運営している人の顔は見えない。
 この講座で、サポーターが、直接クラブの実情を理解したうえで、自分の意見を述べ、提案し、いっしょにクラブを強くしよう、発展させようということになればいいと思う。

みんなが参加感を
 ジェフユナイテッドの試みが、うまくいけば、おもしろいし、有意義だろう。
 他のJリーグクラブでも見習ってもらえるようなものにしたい。
 講演やシンポジウムのような企画をすると「首都圏だからできるんだよ。地方都市には人材がいないよ」という人がいる。東京から、わざわざ講師を呼ぶほどの余裕はないというわけである。しかし、ジェフユナイテッドの講座は、主としてクラブのスタッフが協力するのだから、地方都市でも同じようなことができるはずである。
 ときには、東京から講師を呼んで「外の風」を入れるのもいいし、ボランティアで来てくれる人を探すこともできるだろうが、おおかたは自分たちの手でやったらいい。地方で同じような試みを考えている向きがあれば、喜んで経験を提供したい。
 大切なのは、集まった人たちに、参加感を十分に味わってもらうことだろう。クラブ側が自分たちの方針を上から、説いて聞かせるのではなく、同じ土俵にあがって、意見をきき、いっしょに考えることである。
 北千住のビバ!サッカー講座では、その一つの方法として、みんなで本を書いて出版したのだが、ジェフユナイテッドの講座でも、参加者の意欲を具体化できる方法を考えたい。
問い合わせは
読売/日本テレビ文化センター京葉「ジェフユナイテッドのビバ!サッカー」


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