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サッカーマガジン 2002年1月23日号
ビバ!サッカー

新競技場にサッカー大賞!
真価見定め授賞は10年後に

 ジャジャーンと鳴り物入りで新春恒例のビバ!サッカー選定「日本サッカー大賞」を発表したいところだが、今回はいささか迷った。候補はいくらもある。しかし、これだっ!という決定打がない。そこで今回はちょっと趣向を変えて授賞式を10年後に延期することにした。

新競技場がつぎつぎに
 新春をことほいで、この1年の幸いを祈るのが世間のならわしだけれども、ビバ!サッカーは新春に過去をふりかえり、未来への足固めをすることを恒例としてきた。今回も、ジャジャーン!
 と鳴り物入りで過ぎし1年をふりかえり、歴史に刻むべきものを刻んでおきたい。というわけで、わがビバ!サッカーが独断と偏見で選考する「日本サッカー大賞」を発表する。ただし、今回は、候補はいくらでもあったのだが、大賞を一つにしぼるのは難しかった。
 選考事情はこうだ。
 過ぎ去った2001年の日本のサッカー界をふりかえって、断然めざましかったことが一つある。
 それはサッカーのための新しいスタジアムが、各地につぎつぎに完成したことである。国際試合をするのにふさわしいスタジアムを日本に作ることは、長い間の夢だった。その夢が、この1年間に日本各地で実現した。
 19世紀後半から20世紀、21世紀とつないで日本のサッカーの年表を作ったとき、2001年のところに何か一つだけ書き込むとしたら、それは日本代表チームのコンフェデレーションズカップでの健闘ではなく、Jリーグでの鹿島アントラーズの優勝でもなく、サッカーのための新スタジアムが、つぎつぎに完成したことではないか。
 ジャジャーン!
 2001年の日本サッカー大賞には、各地に登場した新スタジアムに決定しまーす!

サッカー専用がいい
 新スタジアムは各地につぎつぎに完成した。そのなかの一つだけを最優秀賞として選びたい、と思ったのだが、これがなかなか難しい。
 新しいスタジアムには3種類ある。一つはサッカーなどの球技専用型、一つは陸上競技場兼用型、もう一つは野球もできる屋内ドームである。
 野球専用の札幌ドームは、芝生のフィールドを野外に置いて試合のときだけ屋内に引き込むという設備がユニークである。屋根を動かすのなら平凡だが、地面のほうを動かすというアイデアが秀逸だ。これが日本独特のアイデアであれば「大賞に」と思ったのだが、ヨーロッパに先例があるというので割り引きしなくてはならない。
 陸上競技場兼用には、宮城、新潟それに調布市の東京スタジアムがある。このなかでは、新潟のビッグスワンが見やすく、便利にできていて実用的である。しかし、陸上競技のトラックを作る予定のスペースがサッカーを見るにはやはり邪魔だ。
 というわけで、ビバ!サッカーとしては、サッカーなどの球技専用スタジアムを表彰したい。カシマ、埼玉、神戸ウイングなどである。
 しかし、それぞれ特徴もあるし難もある。観客の動線、交通アクセス、芝生の管理などが問題である。こういう問題をクリアして2002年以後に、しっかり活用できるかどうかを見守らなければならない。
 そこで、一応は大賞に選んでおいて、表彰は真価を見定めたうえで、10年後に行なうことにした。

海外進出組に三賞
 表彰といったところで、ビバ!サッカーは、誌上で報道してその功績を歴史に留めるだけである。2年後だろうが、10年後だろうが、100年後だろうが自由自在である。
 恒例によって、三賞も選考した。
 2001年をふりかえって、スタジアムの建設とともに目立ったのは日本の選手の海外進出である。西沢明訓、広山望、稲本潤一、小野伸二、高原直泰、川口能活…。
 いやはや、これも、つぎつぎに出て行ったね。近ごろの若い者はものおじしない。そこがすばらしい。
 そこで、海外に出て行った若者たちをひっくるめて、殊勲、敢闘、技能の三賞を授与することにする。だれが技能で、だれが殊勲だということは、あえて決めなくてもいい。そこんところも自由自在である。
 しいていえば、技能賞は小野伸二にやりたい。オランダの名門中の名門のフェイエノールトに行って「結構やるじゃないか」という活躍である。技術と戦術能力が通用している。
 敢闘賞は高原直泰である。多くの選手がヨーロッパをめざすのに、あえて経済状況も治安もよくないアルゼンチンへ行った。しかも、ボカ・ジュニアーズは世界一を争う強豪チームだ。レギュラーの座は難しい。そこへ、あえて挑戦した。そこが敢闘賞である。
 川口能活には殊勲賞だ。ゴールキーパーというポジションでイングランドのポーツマスでポジションを得たことを評価したい。日本人のゴールキーパーが、海外で通用することを示したのが殊勲である。


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