グループリーグの組み合わせが決まってようやく「さあ、ワールドカップだ」という気分になってきた。日本はベルギー、ロシア、チュニジアと同じグループ。「抽選に恵まれた」という声が多いが、果たしてそうだろうか? 必ずしも楽だとは言えないと思うのだが…。
優勝候補はいないが
「ワールドカップの決勝大会に出てくるほどのチームに、弱い相手はない。どのチームも手ごわい」
日本代表のトルシエ監督も、そう言っていたし、それはそうに違いない。しかし、それでも、やりやすい相手とやりにくい相手はあるだろう。
12月1日に釜山で行なわれたワールドカップのグループリーグ組み合わせ抽選で、日本のHグループに入ってきたのは、ベルギー、ロシア、チュニジアだった。「比較的、やりやすい相手だ」というのが新聞などに出ていた論評である。
でも、本当にそうだろうか。
たしかに、有力な優勝候補はいない。日本と韓国は開催国として、優勝候補とともに第1シードになったのだから、図抜けたチームと同じグループに入らなかったのは当然である。そういう意味では「恵まれる」ことは抽選の前から分かっていた。
逆説的ではあるが、強豪がいないことは、かえって不利だという見方もできる。
優勝候補のチームは、準決勝あたりにコンディションのピークを持ってくるように調整する。はじめから全力で飛ばしたら、1カ月にわたる長丁場を戦い抜けないからである。また、はじめから手の内を全部さらすことはないからである。
一方、グループリーグで勝つことをまず目標としなければならないチームは、第1戦を目標にコンディションを整えて来なくてはならない。
そういうケースでは、第1戦で優勝候補に当たれば、勝てないまでも引き分けにできる可能性がある。
ベルギーは手ごわい
優勝候補がグループリーグで格下のチームと引き分けた例は、過去の大会で少なくない。そういうことを考えると、優勝候補と同じ組に入るのも悪くはない。
優勝候補は、結局は決勝トーナメントに進出するので、第1戦で引き分けると、次の試合は勝ちに出る。それによって、同じグループの他のチームを負かしてくれるので、こちらは助かるということになる。
これは、わがチームは第1戦で優勝候補と当たって引き分け、他のチームは優勝候補にやっつけられるという、ムシのいい想定に立っての話ではある。しかし、過去の大会で前例があるので、考えられないことではない。
さて、日本と第1戦を戦うことになったベルギーは、どうだろう。
ベルギーは6大会連続、11回目の出場のワールドカップの常連である、国土面積や人口から言えば、日本よりもかなり小国ではあるが、サッカーでは格上だ。日本が「組み合わせに恵まれた」と言えるような相手ではない。
しかし優勝候補といわれるほどではないから、やはりグループ突破に焦点を合わせてくるだろう。そして、日本がトルシエ監督のもとで力を伸ばしていることは十分に承知しているし、開催地元で有利なことを考えるだろうから、第1戦に全力を投入してくるだろう。
というわけで、日本にとってベルギーは、予想以上に手ごわい相手になりそうである。「恵まれた組み合わせ」とは、とても言えない。
ベスト16の希望は十分
ロシアも勢いがあるし、アフリカ勢のチュニジアも侮れない。もともとアジア以外の国で「順当なら日本が勝てる」という相手はいないのである。
とは言うものの…。
日本がベスト16に進出する希望は十分にあると、ぼくは信じている。組み合わせ抽選の前から、そう言っていたし、組み合わせが決まったあとの現在も、そう思っている。
ぼくの希望的予想では、日本はベルギーに1−0で勝つ。
第2戦のロシアとは1−1の引き分け。日本は第1戦に勝てば、2戦目は慎重に戦うと考えて引き分けを予想したわけである。
第3戦のチュニジアには、2−0で勝ち。
これで、グループHのトップで決勝トーナメント進出と言いたいところだが、そこまで夢がふくらむと、決勝トーナメント1回戦の相手も気になってくる。決勝トーナメントの相手はグループCから出てくる。ここにはブラジル、中国がいる。ブラジルに当たらないように、日本はグループ1位のほうがいいかな、などと考えるのは、それこそ、ムシがよすぎるだろうか。
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