アーカイブス・ヘッダー

 

   
サッカーマガジン 2001年9月19日号
ビバ!サッカー

楽しくユニークな北千住講座
10月からワールドカップ特集

 2002年ワールドカップへのカウントダウンが、だんだん切実になってきた。この機会に、その歴史、その哲学、その話題を考え直しておいて、本番をおおいに楽しもうと、北千住で月2回開いている「ビバ!サッカー講座」では、来期はワールドカップをテーマにすることにした。

読者の研究会
 東京の北千住にある「よみうり・日本テレビ文化センター」で、昨年秋から「ビバ!サッカー講座」を開講している。半年が1期で今年4月からはじまった第2回目が9月で終了、10月から新学期がはじまる。
 講座といっても、知識や技術を教えるわけではない。このページの愛読者の研究会みたいなもので、みんなで、わいわい、がやがや、言いながら、楽しんだり、学んだりしている。自画自賛するようだが、これがなかなかおもしろい。
 おもしろいところはまず、間口が広いことである。どんな話題でも好き勝手に取り上げる。雑多な話題をテーマにしながら、全体としては筋を通して、まとまったものにしたいと講師のぼくは思っているが、受講者は好奇心旺盛で何にでも興味を示して話はどんどん広がっていく。
 最近、社会人大会の関東予選の試合を見に行った話の報告があった。報告したのは若い女性の受講者である。埼玉県に住んでいるので高校サッカーでは武南を応援していた。その武南の谷大樹選手が卒業して就職した会社のチームが出るので「谷くんは、その後、どうしているかな」と神奈川県の保土ヶ谷のグラウンドまで見にいったのである。
 「土のグラウンドで、応援する観客もほとんどいない。高校サッカーのはなやかさとの落差に驚いた」という感想だった。
 「なるほど」と、ぼくは思った。
 テレビに映らないところにも、いろいろなサッカーがある。そこにも目を向ける必要がある。

ユニークな意見
 さらにおもしろいのは、さまざまな問題を取り上げながら、それぞれにユニークな意見が出てくることである。
 このところ、各地に新しいスタジアムが、つぎつぎに誕生した。それぞれのスタジアムについて、それぞれの受講者が独自の意見を持っている。
 Jリーグたらみオールスターサッカーの行なわれた豊田スタジアムは、陸上競技のトラックがなく、スタンドが急傾斜である。下の層のスタンドからはフィールドが近く、上の層のスタンドからはフィールド全体を見下ろす感じで、概して見やすいと好評だった。
 ところが、これに対しても異論が出た。
 「日本のサッカー試合の観客には女性や子どもが多い。38度の急傾斜のスタンドは危険である。日本的ないいスタジアムを、という新しい課題が見えてきた」
 欧州や南米のサッカーの試合では女性や子どもの観客は少ない。そういう事情をよく知っているうえでの意見である。
 「でもサクがあったよ」という反論も出た。
 たしかに上層のスタンドの最前列の前にサクはあった。実際に転落する危険はないだろう。しかし、見下ろしただけで、ぼくも恐怖感を覚えた。スリルと興奮を味わうだけでなく、安心して楽しむことも考えなければならない。
 「日本的スタジアムを」というのはユニークな提言である。

ホームページ開設
 その8月4日の「たらみオールスター」に、わが受講生の有志はバスツアーを組織して出掛けた。仲間にツアーの専門家もいるのである。そのアイデアとバイタリティーに先生はとてもついていけない。試合後、帰りの夜行バスに乗る前の、延長戦と称するパーティーに付き合ったあとバスを見送って、現地のホテルでバタンーキューであった。
 ビバ!サッカー講座には、いろんな人材がいて、いろんなことをしている。フットサルのチームも組織している。連戦連勝ではないようであるが、女性の初心者を前に出して、ゴールをあげさせて乾杯したいと夢見ている紳士が揃っている。
 本来の講座では何をしているか?
 講師が毎回、とりとめのない話をする。それだけでなく、受講生が入れかわり立ちかわり講師を務めて報告をする。毎回最後に全員が400字程度の論作文を書く。これはスポーツライター志望者にとっての訓練でもある。全部をぼくの独断と偏見で添削して次回にお返しする。
 みんなの考えを、みんなに知ってもらうためにホームページを開設した。いまのところ仲間内だけにしているが、将来はメールマガジンにして加入者数日本一の小泉首相の向こうを張ろうと夢見ている。
 さて10月からの新学期は、ワールドカップを中心テーマに据えて、まとまりのあるものにしたいと考えている。継続会員優先、定員30人(先着順)ではあるが新規加入も歓迎する。


前の記事へ戻る
アーカイブス目次へ

コピーライツ