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サッカーマガジン 2001年7月18日号
ビバ!サッカー

コンフェデ杯の韓国代表の誤算
韓日サッカー記者セミナーから

 コンフェデレーションズカップは日韓共催による2002年ワールドカップのテストだった。日本代表は決勝に進出し、結果としてはなかなかだったが、韓国はどうだったのか。6月中旬にソウルで開いた韓日サッカー・ジャーナリスト・セミナーで聞いた話から紹介しよう。

国会で事情を聴取
 「きょうの午前中は、国会の委員会に喚問されてきました」
 6月19日と20日の両日、ソウルで韓日サッカー・ジャーナリスト・セミナーが開かれた。その開会式の主催者あいさつで、こんな話が出て、日本から出席していたぼくたちはびっくりした。
 国会に2002年ワールドカップの特別委員会があるとはたいしたものだ。「韓国では、ワールドカップはほんとうに国家的事業として扱われているんだな」と実感した。
 セミナーの主催者は「2002年ワールドカップ文化市民運動中央協議会」という団体で、あいさつをしたのは、事務総長のシン・ジョンシ(申仲植)さんである。
 シンさんは立派な、しかし気さくな方だった。最終日の最後に行なわれた質疑応答のときに「主催者が質問するのはへんですが……」と断りながら、まっさきに質問した。
 質問した相手は、パネリストとして壇上にあがっていた。有名なサッカー評論家のキム・ドッキ(金徳起)さんである。
 「コンフェデレーションズカップのとき、韓国は第1戦の相手にフランスを選んだ。これは間違いだという意見があるが、評論家としてどう考えるか」という趣旨だった。
 コンフェデレーションズカップのグループ分けはFIFAが決めたが、対戦順序は開催国が決めた。韓国が開幕戦の相手にフランスを選んで5対0の大敗を喫したのが、韓国予選落ちの原因だという批判があるらしい。

フランス戦大敗の批判
 韓国のサッカー協会は、第1戦の相手にフランスを選んだ。代表チームのヒディンク監督の意見をきいた結果だ、という話もある。
 ぼくの考えでは、第1戦の相手にフランスを選んだのは当然である。
 第一に、世界チャンピオンが開幕戦に登場するのは、話題としてはなやかでPRになる。大統領が出席したのだから格調の高い試合をお見せするのがいい。
 とはいえ、とても勝てない相手を選ぶよりも、勝てる相手を選んで、幸先のいいスタートを切るべきだという意見にも一理はある。
 そこで第二に、韓国がフランスに勝つ見込みは、まったくなかったのかということが問題である。とても勝てないから、対フランス戦は捨てて、他の2試合に勝って準決勝に進出するという戦略をとるのなら、フランス戦は予選リーグ最後でいい。
 でも、なんとか勝つ作戦を立てるのなら、第1戦がいい。フランスは欧州からの長旅で疲れている。時差ぼけもある。体調が整わないうちに叩いたほうがいい。
 一方、フランスのほうは、第1戦ではスタート勝負である。無得点のまま勝負を後半に持ち込まれると疲れがどっと出る。フランスはねらいどおり前半17分に先取点を挙げた。韓国は盛り返そうと攻めに出て大量失点した。これは誤算である。
 結果としては誤算になったけれども、第1戦の相手にフランスを選んだのは、興行的にも、儀礼的にも、競技的にも、おかしくない選択だったと思う。

戦いぶりはいい
 韓国は、第1戦は誤算だったけれども、第2戦はオーストラリアに、第3戦はメキシコに勝って、結果は2勝1敗だった。ふつうならグループ2位で準決勝に出ることのできる成績である。
 ところが、フランスがオーストラリアに負けたために、3者が2勝1敗になり、得失点差で韓国は3位になった。それで準決勝に出られなかった。フランス戦での5失点が大きく響いた。
 「フランスがオーストラリアに負けたのは、おかしいんじゃないか」という質問も、ソウルのセミナーで出た。
 フランスは、オーストラリアとの試合のとき、それまでのレギュラーを8人はずした。これは「手抜き」である。地元のファンが「八百長じゃないか」と疑惑を持つのは無理もない。
 しかし、フランスにしてみれば、その時点でベスト4は確実になっていたので、レギュラーを休ませて、準決勝に備えるのは「よくある手」である。フランスが、コンフェデレーションズカップを重視して「優勝」にこだわっていたことが分かる。地元の韓国に「配慮する」余裕はなかったのだろう。というわけで、コンフェデレーションズカップでは韓国には誤算と不運があった。
 しかし試合ぶりは悪くなかった。よくなってきているという意見は、セミナーの日本側参加者にも、地元のサッカー記者たちにも多かった。
 今回の誤算と不運が、2002年にはいい教訓になるよう期待したい。


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