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サッカーマガジン 2001年4月4日号
ビバ!サッカー

トト・スポーツを考える(下)
収益金はソフトに使うべきだ

 スポーツくじ「トト」の全国発売が順調に滑り出した。これから伸びていくかどうかも課題だが、次の問題は卜卜の収益金をどう配分するかである。スポーツ振興のために使うのは当然として、施設の整備に使うのか、選手強化や団体運営などに使うのかは改めて検討すべきである。

滑り出しは順調
 トト全国発売の滑り出しは、まあまあだったと思う。Jリーグ第1節の売り上げは約9億円で、発売元が期待していたよりは少なかったようだが、これは売り場の数が少ないのと売り場がどこにできたのか知らなかった人が多かったためで、しだいに改善されていくだろう。
 いきなり最高額の1億円の配当が2本出たのは、トトの今後のためにはよかった。新聞などに大きく取り上げられたので、これまで関心のなかった人が「えっ、1億円も当たるの」と興味を持ちはじめた。つまり夢を刺激されたわけである。夢を持ってJリーグの予想を楽しみ、それがスポーツ振興のための寄付になれば結構なことである。そして、そういう人たちは、サッカーというスポーツに興味を持ちはじめる。サッカーの好きな人たちにとっては、このすばらしいスポーツが普及するためにも役立つのだから、なおさら結構なことである。
 しかし、ひいきの引き倒しになってはいけない。
 静岡でのテスト販売の前に、トトの主催者がジャーナリストへの説明会を開いた。そのときに一人のサッカー・ライターが「収

益金はサッカーのために多く配分すべきだ」と意見を述べた。
ぼくは反対した。「収益はすべてのスポーツのために使うのがいい。サッカーくじだから、サッカーに多く配分すべきだというのは料簡が狭い。サッカーがスポーツ全体のために役立つことを喜ぶべきだ」というのが、ぼくの主張である。

収益金の配分法
 問題は収益金の使途である。
 売り上げの半分(当面は47%)は賞金として払い戻される。残りの半分のうち15%以下が運営経費に当てられる。その残り、つまり、売り上げの約35%を、どう使うかである。
 この約35%は、さらに3分の1ずつに分けられる。
 3分の1は国庫納付金である。つまり政府の収入になる。ぼくの意見では、この国庫納付金は政府予算のなかでスポーツ振興のための助成に上乗せさせて支出すべきである。たとえば、国立のトレーニング・センターの施設や運営に使うことにするのがいい。
 3分の1はスポーツ団体、たとえば日本オリンピック委員会などへの援助に当てられる。
 最後の3分の1は地方公共団体等、つまり都道府県や市町村にスポーツ振興のために配分する。
 以上のような取り決めになっている。
 さて、スポーツ団体や県や市町村に配分されるお金は、どのように使ったらいいだろうか。
 いまの段階で配布されている説明資料は用心深く書いてある。
 県や市町村への助成は、主として子どもたちから高齢者まで、みんなが親しめる「生涯スポーツ」のために使われることになるだろうが、これについては「スポーツに親しめる環境づくり」と書いてある。
 「環境づくり」が何をさすのかははっきりしない。施設や設備なのだろうか。それともクラブの運営費や指導者の経費も含むのだろうか。

強化と運営に使え
 スポーツ団体への配分は、主としてトップレベルの選手強化のためだろうが、これについては「選手強化のための拠点整備」と書いてある。「拠点整備」とはトレーニング・センターの施設づくりのことらしい。
 そうだとすれば異論がある。
 ナショナル・トレーニング・センターのような施設は、国の経費で、国の資産として作るべきである。少なくともトトの配分金のうちの3分の1をしめる国庫納付金を、これに当ててはどうか。
 そのほかに「国際的スポーツ活動への支援」がある。これは2002年のワールドカップ開催経費への援助などを想定しているのだろう。そういう援助が必要な場合もあるだろうが、こういう大会は、できるだけ独立採算で計画すべきである。
 「スポーツ指導者の養成、資質の向上」という表現もある。これも、養成のための施設などへの援助をさすのか、あるいは指導者や運営役員の雇用にも助成するのか、はっきりしない。
 つまりトトの収益を施設などのハードのために使うのか、指導者の雇用やクラブの運営のようなソフトのために使うのか分からない。
 ぼくの考えは「ソフトのために使え」である。トトの益金は税金とは違う。「スポーツ振興のため」という目的がはっきりしているものに大衆が出してくれたお金である。だから自由に使えるようにしたほうがいい。ただし「ばらまき」にならないように気をつける必要はある。


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