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サッカーマガジン 2001年3月7日号
ビバ!サッカー

大成功のビバ!北千住講座
わいわいとW杯を語り合う

 東京・北千住の読売・日本テレビ文化センターで昨年10月から「ビバ・サッカー講座」をはじめた。講座といっても、このページの読者の方々が語り合うサロンのようなものである。あっという間に月日が経って3月いっぱいでT期は終わり。4月から新学期が始まる。

文章より内容
 こんなに楽しい会になるとは思わなかった。毎月第2、第4土曜日の午後6時からが原則である。
 はじまりは「サッカー・ジャーナリスト養成講座を」というセンターの支配人の案だった。
 「それは無理だよ」とぼくが反対した。「かりにライター養成に成功しても筆一本で飯は食えないよ」
 支配人もさるものだ。「いやいや。いまは筆一本でなくワープロですから。10本の指で打つから2本の箸に勝てるのです」
 というわけで「講座」と名がついたからにはと、講義と文章教室を含んでいる。
 講座の主な内容は、サッカーというスポーツ、ワールドカップというイベントについてである。サッカーは他のスポーツとは非常に違う歴史をもっている。オリンピックなどと比べて、その違いを明らかにしようと努めた。
 ライターをめざす人も少なくなかったので「文章の書き方」も毎回、話している。でも大事なのは文章というメディアではない。何を語りたいかというコンテンツである。それに書くのは「習うより慣れろ」である。
 そこで毎回、必ず四百字の課題を書いてもらい、そのほかに宿題を出して次回までに四百字3〜5枚、書いてきてもらって添削した。添削といっても文章を大幅に直す必要はほとんどない。
 しかし、内容については、人それぞれ意見がある。そこで、ぼくの感想を書いてお返ししたりしている。

W杯を楽しむ法
 受講生の皆さんが書いてくださる内容が、なかなかおもしろい。その内容を抜き書きして、次回にプリントにして配り、みんなで話し合う材料にしている。また1回ごとに1人づつ登壇してもらって書いたものについて話をしてもらうことも試みている。
 「ワールドカップについて自由に書いてください」という宿題を出した。そのとき書いてきてくれたなかに「2002年ワールドカップを最高に楽しむ法」というのがあった。
 まず1次リーグの試合は、茨城か埼玉か神戸で見る。サッカーは専用スタジアムで楽しみたい。埼玉で日本の試合を見ることができたらいうことない。ただし切符を手に入れるのが難しいだろう。
 決勝トーナメントは、韓国ツアーに参加して韓国で見る。海外に出て外国人になって応援するのもワールドカップの楽しさである。韓国には専用スタジアムがいくつもできる。できるだけ専用スタジアムで世界のプレーを身近に見たい。
 準決勝は、再び日本へ戻って埼玉で見る。ここでも専用スタジアムにこだわっている。
 準決勝を見おわったら、その足で成田空港へ行く。決勝に進出したチームの国へ出発である。たとえば、ブラジル対フランスの決勝戦になったら、リオデジャネイロかパリに向かう。
 コパカバーナかシャンゼリゼで地元の観衆の熱狂のなかに身を置いて楽しむ。これは横浜スタジアムの切符を手に入れるよりも確実だろう。

延長戦も楽しい
 専用スタジアム、韓国ツアー、決勝戦は外国でテレビ観戦というアイデアが巧みに組み合わされていて、おおいに感心した。
 その裏には、ワールドカップのために新設したスタジアムをサッカー専用にできなかった日本協会の無力に対する嘆きが隠されている。
 本当に見たい人には入場券が渡りそうもない、予約抽選販売のシステムに対する怒りが秘められている。
 さらに「本当にサッカーとワールドカップを知ってるのは、おれたちなんだよ」という誇りがある。
 わがビバ!サッカー講座は、こういう高級で大衆的な仲間で構成されている。
 午後9時に講座が終わっても、仲間はなかなか帰らない。駅の近所に繰り出してビールを傾けながら延長戦をやる。最初は年配の受講生と男同士で一杯というつもりだったのだが、始まってみると20歳そこそこのお嬢さんも50代の立派なお医者さんも付き合ってくださった。お医者さんは水戸から通って来られているので翌日、二日酔いで患者さんが迷惑するのではないかと心配したら「翌日は日曜で休診です」ということだった。宿題や延長戦は、もちろん任意である。みんな自分の意志で楽しく参加する。
 4月から、また構想を新たにして新しい仲間を集めたいと思っている。定員30人。継続者優先で先着順。
 問い合わせは読売・日本テレビ文化センター北千住。


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