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サッカーマガジン 2000年9月20日号
ビバ!サッカー

「ビバ!サッカー」の新企画
読者と筆者で一つのサロンを

 夏のオリンピックへ出掛ける前に、ばたばたと、新しい企画の準備に追われている。オリンピックでは、サッカーだけをゆっくり楽しんでくるつもりだが、そのあと秋にスタートさせるイベントを二つ抱えている。そのうちの一つは、このビバ!サッカーの新機軸なのだが……。

北千住を拠点に
 オリンピックから帰ってきたら、10月から新しい「ビバ!サッカー」をはじめようと計画している。
 いや、このページの「ビバ!サッカー」をやめるつもりではない。これは創刊以来、30年以上も続いている記録的長期連載の時評で、このタイトルになってからも十数年になるはずである。この1ページは編集長がどんなに渋い顔をしても死守するつもりである。むしろ、この1ページの拠点を作り、さらに拡大しようという考えである。
 新しい「ビバ!サッカー」は、このページを読んでくれている熱心で、エレガントで、レベルの高い読者とともに、サッカーを語り、議論し、表現する拠点を作ろうというアイデアである。
 というわけで、10月から来年の3月まで東京北千住の駅ビルの中にある「よみうり・日本テレビ文化センター」で毎月2回、「ビバ!サッカー」の講座を開くことにした。第2、第4土曜日の午後6時から8時まで、半年間で11回の予定である。回数もちゃんと「イレブン」にしてある。
 講座といっても、先生がえらそうに講釈を述べるといった堅苦しいものにするつもりはない。みんなで仲良くサッカーを語り、オリンピックを語り、ワールドカップを語り、考えを交換するサロンにしたいと考えている。さらに、それを発表すること、つまり「表現すること」を考えたい。つまり、ビバ!サッカーをみんなに書いてもらおうというユニークなアイデアである。

メディアの三位一体
 長年にわたって、ビバ!サッカーを、こつこつと書き続けてきた。雑誌に印刷して載せるのだから、これはプリント・メディアである。
 十数年前くらいまでは、書いたものに対して、賛成や反対や批評の投書が毎週のように来たものである。見当違いの悪口でも「なるほど。読む人は、そういうふうにとったのか」と勉強になった。
 ところがテレビ世代の成長とともに、あるいはEメールの普及とともに、投書がどんどん減っていった。読んでくれてないわけではない。サッカー場などで、声をかけて意見を述べてくれる読者はときどきいる。だが、文章を書くという習慣が急速に衰えたようである。「これはいかん」と思う。
 プリント・メディアは、どうしても一方通行になりがちで血が通わない。顔と顔を突き合わせて話のできるサロンが必要じゃないか。人と人とが双方向で話し合うパーソナル・メディアもたいせつだ、と考えて「ビバ!サッカー」のサロンを開設することを計画したわけである。
 さらに、その成果を社会に発表したい。それには、最近急速にのびてきたインターネットを利用できないだろうか。電子メディアというか、Eメディアによるコミュニケーションができないだろうか。それによって双方向を拡大できないだろうか。
 パーソナル・メディア、Eメディアそしてプリント・メディアの三位一体による「PEPメディア」でビバ!サッカーを、とたいそうなことを考えている。

HPを開設したい
 そういうわけで、ビバ!サッカーのホームページを作りたい。パソコンとサッカーが好きで根気のある若者がボランティアで引き受けてくれないかなと募集中である。
 ところで、なぜ、こんなことを考えたかというと、かつて新聞社に勤めていたときの友人を通じて「文化センターで文章講座をやりませんか」と声がかかったからである。
 その仲間のアイデアは「サッカー・ライターになるための文章講座」というものだった。
 それもいい。
 しかし文章は「書き方」ではなくて「考え方」のほうが、かんじんである。勤め先の兵庫大学で「就職のための文章講座」をボランティアで開いているが、文章は書き慣れるにつれて、どんどんうまくなる。問題は社会に出て何のために、何をしたいか、という就職についての考え方である。
 サッカーの場合も、サッカーをどうみるか、ワールドカップをどう楽しむかなどと、いろいろ考え方をみがくほうが先決だろう。
 ライターになるため、あるいは就職のための文章も、及ばずながらアドバイスはするつもりだが、なによりも仲間として、いっしょに考え方をみがきたい、とねらっている。
 とはいっても、仲間が集まらなくては話にならない。そこで「有志は北千住に集まろう」と呼び掛けるしだいである。
 問い合わせは、よみうり・日本テレビ文化センター。よろしく。


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