Jリーグ8年目。各チームの戦力はかなり整備されて、上位争いは大激戦になりそうだ。しかし、リーグの体制はまだふらついていて、シーズンの在り方も、各クラブの経営も落ち着かない感じがする。安定した運営への準備を急がなければならない。
大激戦の予感
今年のJリーグは大激戦になる予感がする。それも優勝を争う上位グループ、波乱を起こそうとする中位グループ、J2落ちを免れようとする下位グループに、はっきり分かれての争いになりそうである。それぞれのグループごとに戦力が接近しているように見えるからである。
上位グループで戦力が充実かつ安定しているように思われるのは、まず鹿島アントラーズ。外国人の新監督の1年目というところが不安材料だが、ジーコがずっと手懸けてきているクラブだから、同じ仲間のトニーニョ・セレーゾ監督は、日本のサッカーに溶け込むのが、案外と早いかもしれない。そうであれば優勝候補の筆頭である。
ぼくが期待しているのは名古屋グランパスである。ストイコビッチが「今シーズンかぎりでやめる」と言っていると伝えられているので、この功労者に花を飾らせたいと願っている。ジョアン・カルロス監督が就任したのは前年の途中からだが、たちまちチームを立ち直らせた手腕はあざやかだった。アントラーズで実績を残し、日本のサッカーは知り尽くしているだろう。
中部日本のサッカー振興のためにも名古屋にタイトルをとってもらいたい。サッカーの普及は全国区でなければならない。
そういう意味では、サンフレッチェ広島にも頑張ってもらいたい。広島はもともとサッカーどころだが、サッカー人気が広がるとともに「王国」の影が薄くなったように思う。てこ入れしたいところである。
J2にも注目を
清水エスパルスも「サッカー王国」として花を咲かせてもらいたい。長谷川健太、堀池巧といった少年サッカーのころから知っていた選手が引退したのはさびしいが、新しいスタートの機会でもある。
このあたりにジュビロ磐田、柏レイソル、横浜F・マリノス、ヴェルディ川崎を加えた6〜7チームが上位で激戦を展開するのではないかと予想している。
関西のチームを優勝候補に入れられないのは残念である。
京都サンガは2年目の加茂周監督が手腕を見せてほしいし、ヴィッセル神戸も川勝良一監督が1年目に予想以上に力量を見せたので2年目に期待したい。大阪の2チームも、それぞれ軸になる選手はしっかりしている。ただ、どのチームも優勝を争うにはコマ不足である。中位で波乱を狙うというところだろう。
今シーズンからJ2の上位2チームが、入れ替え戦なしでJ1にあがってきた。そのうちの川崎フロンターレは大幅な補強をして、一気に中位以上を狙う態勢を整えた。
1、2部の自動昇降格は非常にいいと思う。下から上がってくるチームに「やる気」を起こさせる効果がある。2部に落ちたチームも、内容がしっかりしていれば、翌年にはすぐ、1部に復帰できる。浦和レッズと、湘南ベルマーレは、J2へのいい刺激としての役割を果たしたうえで、J1へ戻ってくるだろう。
これからはJ2もおもしろい。J2の試合にも注目したい。
経営正常化ヘ
ところでJリーグも8年目を迎える。組織や運営がしっかりしたものに固まっていていいはずである。
各クラブの収入と支出が安定したものになり、シーズンの在り方が定まり、クラブがそれぞれ自立してリーグを盛り立てるようになっているべきである。
そういうふうに見ると、Jリーグの8年には物足りない点もある。
最初の4年、つまりスタートはたいしたものだった。創設の意気に燃え、相当の無理をしてでも、ぐいぐいとスポーツ界をリードしていった。しかし次の4年は、スタート時期の無理を引きずったままで、体制固めはできなかったように思う。
とはいえ、いいきざしもある。
今年のシーズン前は「Jリーグトレード元年」という人もいるくらいで、選手の移動が活発に行なわれた。
横浜の顔だった井原正巳がジュビロ磐田と契約し、コンサドーレ札幌のアイドルだった吉原宏太が札幌からガンバ大阪に交換トレードで移った。
「これはいい」と思うのもあれば、首をかしげたくなるトレードもあるが、ともあれ、適材適所で選手が活躍するためには、選手の移動が必要である。
暴騰していた一部の選手の報酬が落ち着くべきところに落ち着いてきたのもいい。これが、健全経営のスタートになればと思う。
ワールドカップが終わったあと、2003年からは確固とした体制で発展できるよう、いまから脱皮の用意をしておくべきだと思う。
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