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サッカーマガジン 1998年5月13日号
ビバ!サッカー

岡田監督へのインタビュー

 日本代表チームの岡田武史監督へのインタビュー記事が、4月21日付けの新聞各紙に、いっせいに載っていた。「W杯開幕まで、あと50日の抱負」となっている。それを読んでの感想は「言うことが、だんだんビバ!サッカーの主張に似てきたじゃないか」ということである。

☆1勝1分け1敗を修正?
 「数字にはこだわっていません」と、岡田監督はインタビューで話している。フランス・ワールドカップ1次リーグの組み合わせが決まったあと「1勝1引き分け1敗」という数字をかかげたのは、岡田監督自身だった。それに、こだわらないというのだから、これは開幕50日前の修正宣言である。
 具体的な数字を口にしたのは、岡田監督のミスだった。「1次リーグを突破し決勝トーナメントに進出する」と目標を掲げるだけにしておけば、よかったところである。
 「将たるものが、負けや引き分けを前提にした話をすべきでない」というのが、ぼくの考えである。このビバ!サッカーにも、そう書いた。
 「1勝1引き分け1敗」というと「初戦のアルゼンチンに負けるが、第2戦のクロアチアには、なんとか引き分けたい。最後のジャマイカには勝ちたい」というようにとられてしまう。
 岡田監督には、そういうつもりはなかったのだろうが、組み合わせとひきくらべれば、そう受け取られても仕方がない。
 1勝1引き分け1敗でも、決勝トーナメントに進出できるという計算は成り立つ。しかし、そういう計算は頭のなかだけにして、あれこれ言うのはジャーナリストに任せておけばいい。
 とはいえ「全勝宣言」をするのも現実離れしている。それほどの実力は、まだ日本にはない。
 ほんとのところは「1戦必勝」で、試合を一つずつ、全力を尽くして戦うほかはない。

☆アルゼンチン戦が重要
 「初戦のアルゼンチン戦が、もっとも重要だ」とも岡田監督は話している。
 その説明は、新聞によって引用に多少違いがあった。
 「ここでの戦い方によって自信を持てるか五里霧中になってしまうかが決まる」
 「この対策に比重を置けば、ほかの2試合の対策にもなる」
 「現実にアルゼンチンと6月14日に試合をやる。そして勝たなければならない。勝つための準備をすることだけが頭にある」
 アルゼンチン戦に勝つことを狙えというのも、ビバ!サッカーに書いたことがある。岡田監督の軌道が、ビバのほうに寄ってきたようだ。
 「第1戦のアルゼンチンに照準をあわせて、ドーンとぶつかろう」というのが、ぼくの主張だった。
 アルゼンチンは優勝をめざしてワールドカップに乗り込んでくる。最終目標は7月12日の決勝戦である。1カ月あまりの長期の戦いだから、優勝をめざすチームは初戦は小手調べで、準決勝あたりにコンディションのピークを持っていくように調整するものである。
 日本は初出場だから、そんなに余裕を持った調整はできない。とにかく「まず一つ勝つ」ことを狙って、第1戦にコンディションのピークを持っていくことになるだろう。コンディションづくりに時差があるのだから、日本が勝つチャンスはある。
 このような見方を、その後、岡田監督も話していた。軌道が一致してきたのは結構だ。

☆ベテランにも機会!
 今回の岡田監督へのインタビューの一つの焦点は、フランスへ行くメンバーに誰を選ぶかだった。
 ポイントは二つあって、一つは若い新人を加えるかどうかであり、もう一つは、年齢的にはピークを過ぎたベテランをどうするかである。
 若手については「あっと驚くような新人を加えることは、もうない」と言っている。それはそうだろうが焦点は柳沢、小野、市川だ。
 小野、市川については、4月1日の韓日戦で「ソウルに連れていったのは、キリンカップで、いきなり呼んだら、たいへんだろうから」と、あいまいな表現だった。
 ベテランについては、注目はカズと北沢と中山である。中山は30歳だが、ケガから立ち直って絶好調のようだから問題はなさそうだ。
 カズは31歳である。4月の韓日戦でソウルに行かなかったので「もう終わりかな」とみる人もいる。
 北沢は29歳。岡田監督になって代表に復帰して大いに役立ったが、若手のライバルも伸びてきている。
 というわけで、ヴェルディの2人に疑問符がついているのだが、ぼくはベテランに、おおいにチャンスがあると思っている。
 日本は、第1戦を主目標にして戦うのだから、それまでに、かなりの準備期間を持つことができる。ベテランが調整する余裕は十分ある。そして第1戦で燃焼しつくすつもりで戦える。
 ベテランの国際試合の経験が、才能はあっても経験不足の新人より役に立つだろうと思うわけである。


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