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サッカーマガジン 1997年8月13日号

ビバ!サッカー

大学リーグのお台所

 大学サッカーのリーグ運営が難しいようである。関西学生リーグでは大口スポンサーに見限られて、お台所が苦しくなっている。Jリーグができたいま、もう学校スポーツの時代じゃないとも思うが、米国のようにプロスポーツと大学のスポーツが両立できないのかなとも思う。

☆関西学連総会に出席
 はじめに、前の号に書いた記事の訂正をさせていただく。
 前回「続わが学園のサッカー部」で協会・連盟への加盟登録の費用が42万円と書いたが、これは間違いで関西学生サッカー連盟へ納入する分だけで42万円だった。つまりサッカー協会への登録料は別に納めるので学生たちの負担は、さらに大きくなるわけである。ほかに学連の個人登録費は1人4000円である。
 念のために付け加えると、42万円は、新参のわが大学が加盟した3部の納入金である。いちばん低いレベルの、いちばん安い金額である。2部になれば45万円、1部リーグのチームは81万円になる。
 前号の原稿を書いたあとに、関西学生サッカー連盟の総会が開かれたので出席してみた。40年前に大学のサッカー部員として関東大学サッカー連盟の仕事を手伝っていて、総会にも顔を並べたことがある。サッカー学連の会議に出たのは、それ以来である。
 半世紀近くもたち、また関東と関西の違いがあるのに、様子はあまり変わっていなかった。
 ぼくが学生のころ、学連を学生自身の手による自治的な組織としようとする動きがあったが、事前に察知されて、当時の協会の実力者につぶされたことがある。そのころ学連は、部長あるいは監督をしているOBが運営する建前だった。実際の仕事をしている学生の幹事には決定権はなかった。
 半世紀後の関西学連も、まったく同じ。旧態依然である。

☆スポンサーが降りた!
 総会に決算と予算案が出た。組織運営は旧態依然だが、財政規模は、昔の貧乏な台所とは比べものにならないくらい変わっている。
 前年度決算を見ると、総額が約7000万円である。加盟64チームで割ると1チームあたり約110万円になる。学連にチームが払った金額は個人登録費、大会参加費等を加えて総額3800万円あまり、1チームあたり約60万円になる。
 つまり学連は、集めたお金の2倍に近い仕事をしていることになる。その差額は協賛金やテレビ放映権料などから出ている。
 ところが協賛金のうち、もっとも大口だったJR西日本の800万円が、5年の約束が終わって今年からなくなる。テレビ放映も先細りである。これからのやり繰りは、たいへんだろう。
 支出を見ると、もっとも大きい項目は事業費の約4300万円である。1チームあたり67万円になる。これは主として試合の運営費だから参加チームが当然負担すべきものであるが、これだけでも連盟の支出のほうがチームの納めたお金を上回る。
 事業費のうち、春と秋のリーグ戦経費だけを合計すると2600万円あまりになる。1チームあたり約40万円である。一方、学連に払ったお金のうち、個別に納めている新人戦と総理大臣杯の参加費等をのぞいて、納入金と個人登録費だけを合計すると3500万円あまりで1チームあたり、55万円あまりになる。
 つまりリーグ戦の経費だけなら、納入金でまかなえるわけである。

☆地方分権にできないか
 こうやってみると、関西学生サッカー連盟は仕事を抱え込みすぎているのじゃないか、という気がする。いろいろな仕事をするので、お金が掛かり、かなりの納付金をとっても、まだ足りないことになる。
 リーグ戦の経費だけに限っても問題がある。
 さきほどの計算では、リーグ戦の運営費は1チームあたり約40万円で納付金の範囲内だということになったが、これはレベルが高く、納付金も高額な1部リーグを含めての平均である。
 1部リーグのレベルが十分に高くて魅力のある試合ができるようなら入場料収入やテレビ放映権料を当てにすることができる。そうなれば1部の納付金を特別に高額にする必要はない。リーグの共通経費が陏える程度でいい。
 米国のフットボールやバスケットボールでは、有力大学のチームは、入場料とテレビ放映で莫大な収入を得ている。日本でも、関東大学ラグビーの早稲田や明治は入場料で相当の収入を得ている。サッカーだって魅力あるリーグを作る努力をするべきじゃないか。
 しかし、2部以下のレベルの低いリーグでは収入は当てにできない。自分たちで持ち寄ったお金で、ほそぼそと運営するほかはない。
 それはそれでいいと、ぼくは思う。近隣の大学同士でリーグを組んで試合をすれば、それほど経費はかからないはずである。
 そういうわけで、下位のリーグは地方分権で自治的に運営したほうが安上がりなのではないだろうか。


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