大学のサッカー部はいかにあるべきかを深刻に考えている。伝統あるマンモス大学の話ではない。地方都市に生まれ、理想を高くかかげて新しい試みをしている小規模な新設大学の話である。学生たちがのびのびとサッカーを楽しめるようにするには、どうしたらいいのか?
☆リーグ加盟の問題
これは1カ月前に書いた「わが学園のサッカー部」の続編である。
長年の読者は、ご存じのとおり、ビバ!サッカーは、天下国家を論ずることもあれば、私事にわたってまったく恐縮しないこともある。だから自分が勤めている学校の内部の話も、平気で書くので、ご容赦いただきたい。
さて、わが兵庫大学は、気候温暖で風光麗しい瀬戸内海沿いの加古川市にある。2年あまり前の大地震もすぐ隣の市には大きな被害を及ぼしながら、ここは避けてくれたいい町である。
地震のあった年に兵庫大学経済学部が開学して3年目になる。つまり現在、最上級生は3年生で、まだ卒業生は出ていない。
開学して最初の学生が入ってくると、すぐサッカー部ができた。1年生だけで関西学生リーグに加盟したいと申し出たが、これは無理な相談で2年かがりで申請した結果、今年度から加盟が認められ、春のリーグ戦から出場した。報告によると連戦連敗だったらしい。
戦績は長い目で見てやらなければならないと思っているが、リーグ出場には大きな問題点が2つあることが分かった。
一つは、協会、連盟への加盟登録の費用が個人登録費を除いても42万円かかることである。
もう一つは、いちばんレベルの低い3部のグループの一つに入ったのだが、試合は関西全域にわたって行なわれることである。北は滋賀県から南は奈良県、和歌山県まで近畿地方を東奔西走することになる。
☆加盟費が高すぎる
加盟費については、大学の学生部長をやっているので、他のクラブの状態も分かるのだが、サッカーほどの負担を要求されているクラブは他にはない。
硬式野球部がサッカーについで高額だが、これは最初の加盟の時に10万円をとられるからで、あとはリーグ戦に実際に掛かった費用を参加した大学で等分するシステムである。したがって2年目からは、そんなにお金はとられないし、球場を提供できれば、会場費が少なくなるから、もっと負担は軽くなるはずである。
サッカーの場合は、団体登録費、連盟の運営費、強化費の負担などが含まれている。大きな大学で、体育会が組織されており、OBがたくさんいる大学なら、なんとかなるだろうが、できたばかりで先輩のいない小規模大学にとっては、たいへんつらい。これを少人数の部員で分担しなければならないからである。
リーグ戦のために近畿地方を東弃西走しなければならないのは、旅費だけでなく時間的にも、部員にとっても相当の負担である。
関東大学リーグでは、3部は都県別に分かれている。1、2部は、レベルの高いチーム同士で試合をしなければならないから、ある程度は広域化するほかはないだろうが、レベルの低いチームは、数が揃うかぎり、なるべく近隣同士で試合するのがリーグ制の趣旨にかなっている。地域のなかの近くのチーム同士で試合をし、それで物足りなくなったら、遠くまで出掛けて相手を求めるのが、本来の在り方である。
☆指導者がほしい!
「もはや学校のサッカーは滅びゆく運命だな。大学チームを特別扱いするのはやめて、地域のリーグに統合すべきじゃないか」などと過激なことを考えたりしているが、しかし関西学生リーグには、それなりの伝統と考え方があるだろうことも想像はしている。それに、なによりも、学生たち自身が、大学チーム同士の試合を望んでいることを無視することはできない。
ぼくだって、わが兵庫大学サッカー部が、いつまでも連戦連敗のレベルにいることを望んでいるわけではない。やがては近隣のサッカー界でトップクラスになり、加古川市の誇りになることを夢見ている。
そのために必要なのは指導者である。先輩がいないからOBのなかから監督を選ぶことができない。地域のサッカー界の方に、誰か引き受けてもらいたいと工作してみたが、うまくいかなかった。
ぼくのほうにも条件があって、あまり年配の方には頼みたくない。サッカーの指導法は、この30年間に大きく変わっているので、超OBでは若い人とうまくいかないと思う。
もう一つの条件は、これまでの学校体育の主流だった教育主義、あるいは統制主義のコーチには頼みたくないことである。走れ、蹴れ、当たれと叫んでいるだけのコーチではなくて、部員の技能と自主性を生かしてくれる指導者を探したい。
それに、もう一つ。週に1回でいいから、無料で定期的に来てくれる人を探したい。なにしろ、こちらはお金がないのである。
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