Jリーグ1部のチーム数を16チームにすることが決まった。JリーグとJFLのチームの既得権に配慮してのことかもしれないが、結果としては落ち着くべきところに落ち着いた形である。あとは実力による競争と地域に根付いたクラブの育成に、これまでの方針どおり進んでほしい。
☆16チームは適当!
Jリーグ1部のチーム数は2年後の1999年には16チームになる。2月18日の理事会で、そう決まったとのことである。
16チームは悪くない。
もともと「将来は16チーム」という話だったのに、幹部の思い付きで、ころころと変わった案が飛び出すのは穏当でないと思っていた。数を減らそうとすれば、すでに入っているクラブは、身の安全のために反対する。数を増やそうとすると力不足のチームを加えることになって中身が薄くなる。適切な数を設定して、よほどのことがない限り動かさないのがいい。
適当なチーム数を決めるための要件がいくつかある。
一つは、1年は52週ということである。これは暦だから勝手には変えられない。52週のうち何週をリーグに使うかが問題である。
選手の体のことを考えると1年のうち3カ月くらいはオフとトレーニングの期間にしたい。そうすると、サッカー・シーズンは9カ月、39週になる。
プロレベルのサッカー選手にとって、大きな行事はリーグとカップである。そのほかに国際試合がある。国際試合には日本代表の試合と、自分のクラブが行なうものとがある。それを勘案すると、リーグが使えるのは、せいぜい30週である。
ホーム・アンド・アウェーの2回戦総当たりを30週で行なうには、16チームがぴったりである。18チームだと34週になって30週では納まらない。
☆経営にとっては?
これは1週に1試合を前提にした計算である。Jリーグでやっているように、土曜と水曜を使って週に2試合組めば計算は違ってくる。
しかし、毎週毎週2試合ずつやるのは、選手たちに苛酷である。リーグ戦の他に、カップ戦があり、日本代表チームのための期間もとらなければならない。そのほかにエキシビションのような試合もあるから、リーグとしては週1試合で30週と見積もっておくのが妥当だろう。
ヨーロッパでは、もともと水曜の試合は国際試合かカップ戦だった。週末にリーグの試合をやりながら、水曜日に国際試合やカップ戦が入ってくるわけである。
Jリーグのように、水曜日にリーグの試合をやると、カップ戦や国際試合の期間を別に取らなければならなくなるから、リーグのシーズンは短くしなければならない。したがって結局、リーグの総試合数を増やせるわけではない。
リーグのチーム数を決めるもう一つの要件はクラブの経営である。
ホーム・アンド・アウェーの2回戦総当たりとすると、1チームの試合数は、16チームの場合は30試合である。そのうちホームゲームが15試合になる。この15試合がクラブの収入源になる。Jリーグのように、看板広告やテレビ放映権料をリーグが取っている場合でも、最終的にはプールした上で配分するのだから、ホームゲームが収入源であることに変わりはない。
そういうわけで経営側にたてば、チーム数が多いほうがいい。
☆地域分散タイプで
経営の立場に立てば、チーム数が多いほうがいいはずだが、これにも限度がある。
第一に、力不足のチームを加えると試合の中味が薄くなる。そうするとお客さんが減るおそれがある。
第二に、お客さんの財布の中味と余暇時間にも限界がある。試合数が増えると1試合当たりの観客数が減るおそれがある。
プロ野球のジャイアンツは、東京ドームで年に60試合くらいやって、お客を集めているが、巨人とサッカーでは、わけが違う。
巨人戦の観客は、はじめてプロ野球を見る人、年に数回しか東京ドームに来ない人が大部分である。不特定多数を相手にした大都市型の興行である。
サッカーの場合は、地域のファンがクラブに根付いていて、毎試合のように応援にいく地域密着タイプである。
ヨーロッパの町では、自分の町のクラブのホームゲームは欠かさず応援にいくファンが多い。アウェーの試合にも必ず付いていく人たちも珍しくない。これは試合数が少ないからできることである。
選手の疲労度を考えると、プロ野球のような連日の試合による大都市タイプの興行は、サッカーでは無理である。だからサッカーは、地域密着型でリーグを組織している。
1、2部合わせて32チームぐらいが全国各地城に分散している。そういう形にJリーグを持って行くのがいい。
いろいろな事情を勘案して16チーム制に賛成である。
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