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サッカーマガジン 1995年6月7日号

ビバ!サッカー

サッカー後援会はどこへ?

 日本サッカー後援会から、手紙が来た。日本代表を財政援助する目的で会員を集めていたが、うまくいかない。どうすればいいか、という趣旨である。Jリーグの発足とともに、無料入場の特典の利益が少なくなったためだが、ぼくは改組転換の意見を出しておいた。

☆代表強化の資金に?
 「日本サッカー後援会」って知ってますか? たぶん知らないだろうな。15年ほど前に、日本サッカー協会が作って、会員を募集した団体である。いまでも事務所は、東京の日本サッカー協会の中にある。
 個人会員と法人会員があって、個人会員は年会費1万円、法人会員は50万円ということだった。 
 集めたお金で、何をするか。 
 このお金は、日本代表チームの強化に使うことになっていた。いまはJリーグ・ブームのおかげで、協会の台所も、それほど苦しくはないようだが、当時は財政難だった。 
 そこで一般の愛好者と企業から募金しようという考えである。 
 アイディアとしては悪くない。 
 若いころに学校のサッカー部でプレーしたことのある人たちの大部分は、このすばらしいスポーツによって充実した青春を送ることができたことに感謝しているに違いない。その、ご恩返しにサッカーのために、なにがしかのお金を寄付して、後輩にサービスすることには意義がある。 
 企業に対しては、当時は景気上昇ムードだから、50万円くらいのお金は、横並びで寄付してくれるんじゃないか、という甘えた考えだった。 
 寄付させるばかりで、見返りがなくては会員が集まらないだろう。 
 というので、日本サッカー協会主催の試合は入場無料にした。毎年、プラスチック製の名刺ぐらいの大きさのカードを発行し、それを競技場の入り口の会員受け付けで見せれば入場券がもらえる仕組みだった。

☆不成功に終わった理由
 このアイディアは、結局のところ、あまり成功しなかった。
 企業の方から先にいうと、思ったほどには会社が協力してくれなかった。会社の立場からいえば、入会してしまえば、毎年会費を払うことになるので、好況のときはいいが、不況のときは困ってしまう。経営者側の立場からいえば、一時的な事業に対する寄付の方が、継続的な会費よりは都合がいいのである。
 個人会員の方は、協会の役員や協会に近い立場にある人をのぞけば、ほとんどが熱心なファンだった。
 それはそれでいいのだが、学校のサッカー部のOBが、サッカーヘの感謝をこめて日本代表を応援する趣旨にはならなかった。
 考えてみれば当然の話で、OBたちは、それぞれ母校のサッカー部に年会費などの形で寄付をして、後輩に十分協力しているわけである。
 ぼくは、母校の高校と大学のサッカー部に寄付しているだけだが、最近の人たちは、子どものころからサッカーをしているし、6−3−3の学校制度で中学、高校、大学と経てきているから、これに全部、寄付をとられていたら日本代表チームのために毎年、直接寄付する余裕はないに違いない。
 結局、一般の会員として残ったのは、サッカーの試合を無料で見られるという特典に引かれた熱心なファンがほとんどということになった。
 その間に物価があがったから、年会費1万円で入場無料は、かなり割安になった。後援どころか、協会の方が持ち出しである。

☆力を結集し改組転換を!
 そこへJリーグができた。
 Jリーグはプロだから、入場無料では、やっていけない。後援会員の特典は認めないことになった。
 協会が直接主催、主管する日本代表の国際試合や天皇杯決勝大会などの試合は見られるが、人気沸騰のJリーグの試合から締め出されるのでは、毎年会費を払い続けた貢献は、なんだったのかということになる。
 会員のそういう不満は、しごく、もっともである。
 しかし――。
 ぼくは、違う考え方をしていた。
 入場無料の特典は利用しないですむ立場だったが、年会費は払っていた。もともと寄付のつもりだからである。 
 ぼくの考えでは、入場料収入は本来、ホーム・チームのものだから、日本サッカー協会の後援会員が無料入場できないのは、止むを得ない。特典を与えるなら、それは、そのクラブの後援会員に与えられるべきものである。 
 日本サッカー後援会は、代表チームを財政支援するためというのが目的なら、もうその機能を失っている。一方、入場無料の特典の方は、もっとも魅力ある部分が失われている。
 したがって後援会は、もう使命を終わった。 
 改組転換して広くサッカー振興をはかり、OBたちの力を結集する団体にした方がいいと思う。 
 どういうように改組するべきかについては、ちょっと長い意見を書いて後援会の会長と理事長あてに送っておいた。 
 まだ反応はない。


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