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サッカーマガジン 1975年12月25日号
時評 サッカージャーナル

日本リーグ改造私案

1部を12チームに
 日本リーグを1部12チームに拡張する案が出ているそうだ。過日の監督会議で日立の高橋英辰監督がそういう提案をした、というのを聞いて、ご本人に確かめた。
 「ぼくはね、日本リーグの試合数が少なすぎると思ってるんですよ。だからチーム数を増やして、試合数を多くしたら、といったわけだ」
 高橋監督は苦笑しながら説明してくれた。
 試合数を増やすについては二つの難問がある。一つはグラウンドの確保で、もう一つはナショナル・チームの強化スケジュールとの調整だ。
 高橋監督は、この二つの難問を承知のうえで日本リーグ拡張案を出した。その理由は長くなるから別の機会にご紹介することにしたいが、ともあれ、日本リーグのチーム数を増やそうという声のあがっているのは事実である。
 「はじめは、1部と2部を合併して一挙に20チームにしようといったんだよ。だけど、それは極端だということになってね。18チームになり、16チームになり、とうとう12チームになってしまった」
 現在の10チームから1チーム増やすだけでは、試合のカードを組んだときに半端が出る。だから2チーム増の12チームは最小限の拡張案である。
 この日本リーグ拡張案は、そもそも1部と2部との入れ替え戦をやめようという考えから始まったのだそうだ。
 入れ替え戦の弊害については、以前にも何度か書いた。日本独特のこの妙な制度をやめるのは当然である。かりに現在の1部10チームの制度をそのまま維持するにしても、少なくとも1部最下位と2部最上位は自動的に入れ替えるべきである。
 しかし、そうはいっても、こういう改革には、1部の下位チームが、自分のところの利害を考えて反対するだろう。したがって、この懸案は、チーム数を増やす機会をのがさずに解決しておかなくてはならない。そうでないと禍根を将来に残すことになる。
 ついで、といってはなんだけど、この機会に日本リーグのあり方全部を根本的に洗い直してみては、どうだろうか。日本リーグが発足して11年もたったのだから、このあたりで従来の行きがかりを清算して、新しい視点に立って見直していい時期である。
 そこで、これまでにいろんな人たちから聞いた意見も合わせて、「日本リーグ改造私案」を箇条書きにしてみた。
 @1、2部間の入れ替え戦をなくし自動入れ替えにする。
 A各試合をホームチームの自主運営にする。つまり観客動員、入場料の管理をふくめてホームチームに責任と権限を任せる。この場合、地元の都府県協会と協力しうるようにし、地元協会との共同主管は地方遠征の試合――譲渡試合といっている――とは区別する。
 Bチームの中央集中を避ける方法を考える。たとえば9地域協会(関東、東海、四国、九州など)は、少なくとも1チームを日本リーグの1部か2部に加盟させる権利を持つものとする。1地域から1チームしか加盟していない場合は2年連続2部の最下位にならない限り、日本リーグから除外されないようにする。     
 C日本リーグ加盟権を争うチームは、地域リーグの優勝チームの中からだけ選ぶ。
 D1部と2部の組織(評議会)を一つにする。
 E事務局を日本サッカー協会事務局から分離する。

自主運営と地域性
 こまかいことをあげれば、まだいろいろあるだろうし、具体的には研究しなくてはならない問題点も多いだろう。詳しいことは、ここでは説明しきれない。ただ、この日本リーグ改造私案の大きなテーマは二つあることを強調しておこう。その二つのテーマは「自主運営」と「地域性」である。
 観客動員の基礎は、ホームチームの自主運営にある。このことは外国のサッカーの例を見るまでもなく、公式戦ではない早慶ナイターが、OBの努力によって大学サッカーでは最大の観衆を集めることによってもわかる。母校のサッカー部の収入になるからこそ、関係者は身銭をきって入場券を引き受けるのである。
 ただ、外国のリーグ・チームは地域別のクラブであるのに、日本では大部分が企業チームである。この違いが、自主運営をむつかしくしているかもしれないが、これは解決のしようがあると思う。
 日本リーグがスタートして3、4年目のころは、大阪のヤンマーの試合は2万人収容の長居競技場がほぼ満員になるほどのお客さんを集めたものだった。これは当時の新人釜本の魅力もあったけれど、一つには大阪サッカー協会が入場券を売ってくれたためではないかと思われる。
 すなわち、ヤンマーは試合の開催権を大阪協会に譲渡してしまって、大阪協会はヤンマーの試合でいささかなりとも資金稼ぎをしたわけだ。しかし、こういうことをされるとリーグは困る。入場料収入がなくなり、規定の譲渡金しかはいらないからである。それで地元での試合譲渡は、その後やめることになり、大阪のリーグ観客数は激減してアブハチとらずになった。入場料収入を地元で管理するのであれば、これはヤンマーと大阪協会の間だけの問題になる。リーグは共通の運営経費だけを、頭割りでチームに出させてまかなえばいい。
 地域性については詳説する誌面の余裕がなくなった。
 だがスポーツと地域の結びつきの重要性は改めて解説するまでもないだろう。


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