遺稿5(最終稿)
罰当たり爺に手酷い罰が (2014/11/30)
◆マグマが炸裂したような痛み
もう5年も前のことだが,心臓手術をした一月あとに、肺に水が溜まって呼吸困難に陥り病院に運ばれたことがあった。吐く息だけで吸う息ができなかった。病院に着く前に意識不明となり,手術室に直行されたようだったが、術後集中治療室に移ったら、医者に「病院に着くのがあと1時間遅かったら、あなたは死んでいたでしょう」と言われた。
いま、検査している病院は検査に2週間、検査結果を1週間後に出すと云う のんびり対応の病院である。
いまの私の症状は、両側のあばら骨、臍のあたりからの腹の鳩尾の上あたりまでの全体が、骨も筋肉も、痛くて、痛くて,のイタイイタイ病である。腹部の内側にあるプレートと胸部の内側にあるプレートが互いに下に潜り込もうと、せめぎ合いをしていて、マグマが炸裂したような痛さである。
身体中の痛さに身を捩りながら、我慢の顔をしかめながら、このメールを打っているのだが、日曜日の大統領選挙で1位ジルマが42%。2位アエシオが34%、3位のシルベーラが21%と云う結果で、1位と2位の二人が二次選挙で決着をつけることになった。今朝の新聞報道では、シルベーラが「全面的にアエシオ候補を支持する」と発表している。必ずしもシルベーラの21%が全部アエシオに流れるとは言えないにしても、決戦投票でアエシオが大統領当選となる可能性も出てきた。
明後日から入院することになるかも知れない私の運命と、アエシオ・ネーベスが大統領になるかならぬかの運命は、比ぶべきものではないにしても、我が家族・友人・知人の祈りと期待が、ブラジルの良識ある国民の祈りと期待に似ていなくもないなと感じている。
◆義弟の診断で即入院
月曜日(10月6日)は、超音波、レントゲン、血液、尿の検査だった。
朝6時半に家を出て病院に行き、受付で1時間、四つの検査の最後の検査に1時間。待たされているうちに「居ても立っても居られない」どころか「寝ても座ってもいられない」全身苦痛の激しさに襲われ、地獄絵図さながらの惨憺たる酷い思いをした。
女房はただうろたえるばかり、病院の看護婦たちは見て見ぬふり。本気で私はこれで「おしまい」かと観念した。
女房はたまりかねて、サンパウロ大学医学部を6月に退官して名誉教授になっている自分の弟を電話で呼び出して助けを求めたようだ。
とにかく検査を終えて家に戻ったところに、直ぐ弟が駆け付けて来てくれて入念な診察をしてくれた結果「これは腎臓がいかれて、身体中に水が溜まっているので、即入院しなければ大変危険である」との診断だった。
ただ今日の検査結果を見ないと、入院しても如何なる治療を指示すべきか判断が難しいので、結果の出る明後日まで待って直ちに入院手続きを取ることにしたいとのことで、サンパウロでかなりかなり「いい病院と」評判のあるパウリスタ大通りのサンタ・カタリーナ病院を予約してくれた。
心臓は打ち続けているので死なずに苦しんでいるわけだが、義弟のおかげで、あるいは助かるのかも知れない。
ブラジルに移民してきてから 親しいアミーゴだった二人、種子商として大成功し財をなしたSKMさんと、音楽を通じて日伯友好親善に寄与したHDAさんは、ともに入院したその日の晩に亡くなれたので、私も彼らのあとを追うことになるのかなと「乞うご期待です」。
「なあに死にゃせんよとタカをくくっているから、乞うご期待などとバカなことをほざいているんだろう、もっともっと痛い目にあえ」とお笑いなさるな。
(絶筆)
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