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高橋祐幸のブラジル便り・目次
 

高橋祐幸(たかはし ゆうこう)

ブラジル・サンパウロ在住。1933年岩手県生まれ。1960年にブラジルにわたり、日本商社の現地法人(三菱商事)に35年間勤務。退職後ボランティアでトヨタカップ南米代表実行委員を15年間務め、川崎フロンターレ、大宮アルディージャのブラジル代表顧問を約8年間務めた。県立盛岡中学(旧制)で、八重樫茂生(メキシコ五輪銅メダル日本代表キャプテン)と同級生だったことがサッカーに携わる機縁ともなって、日本にもブラジルにも広いサッカーの人脈を持つに至った。


 

 


#36
セレソンは死んだ!
(2014/7/16)

◆3位決定戦も完敗
  準決勝でブラジル代表がドイツ代表に7対1で惨敗したのは、ブラジルでは「歴史的汚点」「歴史的悲惨」「歴史的残虐」など歴史的と云う言葉でデカデカと連日報道されている。
  エース・ネイマールとキャプテン・チアゴを欠いたとは云え、あんな無様な負け方をするとは、ブラジル人からみて有り得ない、信じられない、到底許されないことであるからだ。
  応援する国民も、フェリッペ監督も、戦った選手たちでさえも、信じられない悪夢の中でもがいていたに違いない。
  3位決定戦は「意地でも勝ってセレソンは健在であることを示して、せめて国民に許しを乞うて欲しかった」と、誰もが祈り願ったことだったと思うが、やはりセレソンは死んでしまって蘇生することはなかった。

◆屈辱の歴史は消えない
  どこかの国のように「次があるさ」とブラジル人は決して言わない。負けは負け、取り返しのきかないことであるから。ましてや地元でHEXA優勝を見られなかったことは 決して歴史の頁に戻って来ることはないのだから。
  マクンバ(ブラジル人が信じている呪いの術)にかかったのだろうとか、3位決定戦の3対0にしても魂の抜け殻がピッチをウロチョロ駆けまわっていたに過ぎないとか、もう誰もセレソンがこの世の中に存在しているとは思えなくなってしまった。
  早速、各地で暴動が発生し出して、破壊・略奪が始まっている。ドイツ対アルゼンチンの優勝戦が終るまではまだ我慢して行動を起こさない過激派もあるのではと思われる。大会終了とともに一斉攻撃が開始されるのではないかと市民は戦々恐々である。
  もはや良識市民の抑制力は作用せず、1億5千万国民の悲嘆は薄らぐことも消滅することもなく、暗い年が続くことになることを覚悟しなければならない。   
  「たかが球蹴りくらいで国が亡びる訳じゃあるまいし、お前の言うことはいちいち大袈裟でいかんわ」と、おっしゃる方はご遠慮なくどうぞ。
(7月13日)



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