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高橋祐幸のブラジル便り・目次
 

高橋祐幸(たかはし ゆうこう)

ブラジル・サンパウロ在住。1933年岩手県生まれ。1960年にブラジルにわたり、日本商社の現地法人(三菱商事)に35年間勤務。退職後ボランティアでトヨタカップ南米代表実行委員を15年間務め、川崎フロンターレ、大宮アルディージャのブラジル代表顧問を約8年間務めた。県立盛岡中学(旧制)で、八重樫茂生(メキシコ五輪銅メダル日本代表キャプテン)と同級生だったことがサッカーに携わる機縁ともなって、日本にもブラジルにも広いサッカーの人脈を持つに至った。


 

 


#32
奇跡が起きるはずがない
(2014/6/27)

◆実力の世界の妥当な結果
  「日本人です」。
  これは、日本の第3戦の行われる日の朝に受け取った日本からのたくさんのメールのなかの一つである。
  私も絶対に奇跡は起きる筈がないとは、思いつつもどこか心の片隅に、もしやと云う気が全くなかったと云えば嘘になる。
  しかし冷厳な現実には奇跡など起こる筈はなかった。
  1勝もできずに引き揚げていくザッケローニの心中如何ばかりかと少し気の毒にも思う。
  まだまだ世界レベルには程遠い選手たちに、成田空港では「お帰りなさい」「ご苦労様でした」「頑張ったね」等と声を掛け、花束を贈るのだろうか?
  そうであれば、何とも猿芝居を見るようなバカバカしさと虚しさを感ずることになるだろう。
  コロンビアは象牙海岸に勝ち、ギリシャにも勝ち、日本も打倒し、C組全勝で決勝トーナメントに進むことになった。これが実力の世界の妥当な結果だと納得せざるを得ない。

◆日本のサッカーの甘い体質
  あの日本サッカー協会の誤りだらけの指導方針と、それに同調して人気を煽るだけのマスコミと、それに乗っかってチヤホヤ・ハシャイデいるだけのファンに囲まれて、何のお咎めなしが続く限り、次の2018年に期待することも無駄としか思えない。
  W杯にしろ、オリムピックにしろ、日本のスポーツ選手は政・官・財・など、国をあげての「おんぶに抱っこ」に庇護されてまさに「スポーツ貴族」である。惨めな負け方をしても、罵声を浴びせられることもなく、決して暴力を肯定する訳ではないがが、誰にぶん殴られる訳でもない。ブラジルとは大きな違いである。
  サッカーの成績によって、国の政治が影響を受けるなんてことは、日本ではまったくない。負けたからといって安倍首相の人気が、どこかの国の女大統領のように凋落することもない。    
  平和惚けと言われる「平和の河」が、滔々として流れ続いていくことだろう。日本チームがブラジルにいると云うだけで、なんか喉につっかえたような思いがあったが、これでつっかえも取れて明日からは、伸び伸びした気持ちで純粋にサッカーを堪能し楽しんでいけるのでないか。



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