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高橋祐幸のブラジル便り・目次
 

高橋祐幸(たかはし ゆうこう)

ブラジル・サンパウロ在住。1933年岩手県生まれ。1960年にブラジルにわたり、日本商社の現地法人(三菱商事)に35年間勤務。退職後ボランティアでトヨタカップ南米代表実行委員を15年間務め、川崎フロンターレ、大宮アルディージャのブラジル代表顧問を約8年間務めた。県立盛岡中学(旧制)で、八重樫茂生(メキシコ五輪銅メダル日本代表キャプテン)と同級生だったことがサッカーに携わる機縁ともなって、日本にもブラジルにも広いサッカーの人脈を持つに至った。


 

 


#15
サンパウロでまたデモ騒ぎ

 1月25日は「サンパウロ市制記念日」で市内は数々の催し物で賑わいましたが、それに乗じて、またもや「W杯に国民のお金を遣いすぎて国民の福祉・教育・医療問題を見放した」のスローガンでデモ騒ぎが発生しました。
  警官隊のパトカーに火をつけて燃やしたり、銀行や商店を襲って破壊・略奪をしたり(ストやデモに参加する者は黒覆面してはいけないという規則が出されていたにもかかわらず)覆面の暴徒が正当なデモに悪乗りして、やりたい放題の乱暴をしました。
  これは「クリチバ球場の工事遅れは、あらゆる手段(追加資金)を講じて挽回して必ず大会に間に合わせる」とスイスまで押しかけて行って、またまたブラッター会長に約束をしたジルマ大統領に対する抗議のあらわれです。
  被害を被った銀行や商店などに同情する声よりも、こういう事態発生原因と責任は政府にあるという市民の声が多く、今年10月の大統領選挙でジルマの再選は益々危うくなってきていることは事実です。
  W杯期間中も各地で騒乱続発することが予想されます。
  カナリア軍団が優勝すれば全ては帳消しになるばかりか、政治も安定し景気も良くなるかもしれません。しかし優勝出来なければ、かりに準優勝でも革命動乱が起きかねない状況です。
  W杯はブラジルを滅ぼす程のマイナス・リスクの爆弾を抱えた大会になってしまうことは決して大袈裟な言い方ではありません。



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