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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌 2007

◆大久保嘉人、ケガの功名で活躍◆
 横浜F・マリノス 1−4 ヴィッセル神戸
 (2007年3月17日・日産スタジアム)

 
★三浦淳宏の欠場で新ポジション
 J2から復帰した神戸が、J1上位の横浜F・マリノスに快勝した。勝因の一つはセレッソ大阪から移籍した大久保嘉人の活躍だった。
 前節、チームの中心の三浦淳宏が足指を骨折し、当分、欠場の見込みとなった。そのために、大久保は中盤左サイド前方の攻撃的ポジションに起用された。それが大久保の新しい能力を引き出した。文字通り「ケガの功名」である。
 もともとは、トップに張り付いてのシュート力を期待されていたストライカーである。
 しかし、この日はサイドの下がり目に入って、攻撃の組み立て役としての能力を見せた。
 下がり目で、しかもサイドにいると、全体の状況がよく見える。それで、内側の空いたスペースを見つけて入り込んでパスを受けることができた。トップにいるときほどには、マークが厳しくないから、落ち着いて味方へパスを出すことができた。

★横浜GK退場のアクシデント
 前半36分ごろ、横浜のゴールキーパー榎本哲也が一発退場となった。
 大久保のスルーパスに合わせて朴康造が抜け出してゴールへ独走の形になる。ゴールキーパーの榎本は、やむなくペナルティエリアの外まで飛び出して止めようとする。それで反則を取られた。反則で相手の得点機会を阻止したのだから、レッドカードが出たのはやむをえない。この反則によるフリーキックがもとで、大久保が先制点をあげた。
 試合後の記者会見で、マリノスの早野宏史監督は、GK退場を「アクシデント」と表現した。「予期せぬ出来事」という意味では、アクシデントに違いない。
 しかし、新ポジションの大久保に対処し切れなかったこと、「攻撃的サッカー」のモットーにこだわって中盤の守りに厳しさが足りなかったことが、敗因だと考えれば、単なるアクシデントとは言えないかもしれない。
 
★神戸のJ2経験はムダでなかった
 横浜は10人になったが前半42分に同点に追いついた。前半は1対1である。
 そのあと、神戸・松田浩監督のハーフタイムの指示は、きわめて適切だったと思う。
「マリノスは退場で10人になった。しかし、そのために戦い方は、4:4:1で、はっきりしてくる。相手の端的な攻めを警戒しよう」。そういう指示だったと言う。
 反撃をあせった横浜のミスもあって、後半の神戸は大久保が1点、J2の山形から移籍の若いブラジル選手レアンドロが2点。J1復帰3戦目で、神戸は軌道に乗ってきた。このチームにとっても、J2の経験はムダではなかったようだ。
 対照的に、横浜F・マリノスは、チームがまとまっていない。

(サッカー冗句) 敗軍の将に罵声や春寒し

 

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