◆反町ジャパンの先行きに不安◆
U- 22 五輪予選 日本3−0香港
(2007年2月28日・国立競技場)
★勝ったことだけが収穫
北京オリンピックの出場権を争うアジア予選が始まった。日本の第1戦は香港に3対0で勝ち。結果はもちろん、悪くはない。
しかし、反町康治監督は試合後の記者会見で「収穫は勝ったことだけ」と語った。翌日の新聞の批評も「このままでは北京は無理」という厳しいものだった。冷たい風の中で観戦した人たちも同じ感想だろう。
攻めが単調だった、ミスが多かった、前半攻めながら追加点がとれなかった、守りに緊張感が欠けていた、などが不評の原因である。
反町康治監督は「初戦で堅くなっていた」「個人プレーに走っていた」「練習してきたとおりにできなかった」と、試合後の記者会見で選手たちへの不満を述べた。
メディアには「先発の3トップが機能しなかった」「家長を最初から使うべきだ」など反町監督の作戦への批判もあった。
★不安は「チーム作り」に
「選手たちが堅くなっていた」のも「個人プレーに走った」のも、これから試合を重ねるにつれて改善されるだろう。
反町監督の作戦あるいは用兵に失敗があったにしても、次の試合では反省して改まるだろう。
したがって、こういう点は必ずしも「北京への不安材料」ではない。
不安は反町監督の「チーム作り」にある。
「パスをつないで走り、3人、4人が絡んで躍動する攻め」をめざして練習させてきたが、本番では、なかなか、それが出てこなかった。そこに問題がある。
練習では強制できても、選手が自ら「それをやろう」という気にならない限り、本番では、それが出てこない。
「自らやる気」を起こさせる指導力が、試合内容を見る限り、今回は欠けていた。
★代表と単独チームの違い
反町監督は、アルビレックス新潟で実績をあげてきている。しかし、単独チームと代表チームでは「チーム作り」の条件が違う。
単独チームでは、監督は選手を選べない。「与えられた選手に合ったサッカー」を考えなければならない。したがって、与えられた選手の個性と能力を生かす「チーム作り」をするほかはない。
代表チームでは選手を選ぶことができる。したがって「自分がやりたいサッカー」にあった選手を集めて、自分のやりたいサッカーのための「チーム作り」をすることを考えたくなる。
しかし、集めた選手が「監督のやりたいサッカー」をしてくれるかどうかは別問題である。代表に選ばれるほどの選手は個性が強い。なかなか思い通りにはならない。
そういう選手たちをまとめるには、選手たちが「自分たちで考えてプレーする」ようにしむけることが必要である。監督の考えの型にはめようと強制するのは無理である。
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