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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌 2007

◆自分で考え、修正する能力◆
 U- 22 国際試合 日本 0−0 米国
 (2007年2月21日・熊本 KK wing スタジアム)


★前半は日本攻勢だったが……
 熊本までU−22の試合を見に行った。日本にとって北京オリンピックをめざす過程の親善試合で、勝ち負けは重要でない。反町康治監督がどんなチーム作りを考えているか、米国の若い選手はどんなサッカーをするのか。そのあたりを見たいと思った。
 前半30分くらいまでは日本が攻勢だった。
 立ち上がり平山相太が正面で抜け出してのシュート、24分にコーナーキックからカレン・ロバートのヘディング・シュートがあった。前半に5回は日本にいい形の攻めがあり、米国はほとんど守りに追われていた。
 ところが、前半の終わりごろから、米国は守りを立て直し、後半は米国の攻めも目立って互角になった。
 0対0の引き分けに終わったあとの記者会見で、日本の反町監督は「米国の選手は、プレーしながら、試合の状況を、それぞれ感じ取って自分たちで修正していた」と話した。
 
★反町ジャパンの新システム
 日本は長身の平山を先頭に、そのすぐ後ろにカレン・ロバート、日本国籍取得で新たに起用された李忠成の2人をつける3トップ。守備ラインは3人。中盤は中央に2人。それに両サイドプレーヤー。「新3トップ」の新布陣だった。
 中盤中央の2人が積極的に攻めに出ると攻撃的になる。前半に米国が押しまくられたのは、それに対応できなかったからだった。
 しかし、米国の若い選手たちは、プレーをしながら、その形勢を感じ取った。そして、ボールをサイドに出して反撃を試みるようになった。
 米国は典型的な4:4:2だった。両サイドには、それぞれ2人ずつが配置されている。
 一方、日本は前線も守備ラインも、中央に3人ずつ固まっているから、サイドは手薄である。日本のサイドの選手が攻めに進出しているときは、その背後をつかれやすい。サイドをカバーしようと中盤プレーヤーが外に出てくると中盤が手薄になる。

★米国サッカーの未来を感じた 
 米国の選手たちは、日本のシステムの弱点を読み取って対応した。反町監督が「米国の選手は自分たちで修正した」と語ったのは、その意味だろう。ハーフタイムに監督の指示を受けてからではなく、選手1人1人が判断して前半のうちに対応した。
 ハーフタイムには、もちろん米国のベンチも動いた。左サイドに足が速く、ドリブルの好きな19歳の選手を交代出場させて「かき回し」を策した。日本は後半27分に、このサイドに家長昭博を出して、その裏を狙った。39分に家長が抜け出してシュートしたが、ポストに当たった。
 引き分けに終わったが、勝敗を問題にしなければならない試合ではない。
 米国は、7月にカナダで開かれるワールド・ユースに備えて、19歳未満の選手を4人起用した。そういう若い選手たちが自主的な判断力を持っていることに米国サッカーの未来を感じた。

 

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