◆短期勝ち抜き戦の弊害◆
〜第85回高校選手権雑感(5)〜
(2006年12月31日〜2007年1月8日)
★古い問題と新しい問題
85回目の高校選手権の内容には、高校サッカーの古くからの問題と比較的新しい問題が、ともに象徴されていたように思う。
古くからある問題点は「短期間の勝ち抜きトーナメント」である。短い冬休みの間に日程を消化しなければならないので試合間隔が短くなる。勝ち抜き(ノックアウト)制なので、負けないための戦略が重視されがちになる。PK戦が多かったことにそれが表れている。一方で1回戦で負けたチームは高いレベルの試合を1回しか経験できない。
新しい問題点は「Jリーグ・ユースとの競合」である。Jリーグ・クラブのユースチームが、同年代の優秀な素材を集めている。そのために「高校トップクラスの名門校のレベルは落ちている」という見方があった。
そういうなかで、高校サッカーを「どう変えたらいいか」を考えなければならない。
★48代表制は維持したい
20年前、30年前を基準に考えると、古い問題の改善策は講じられてきている。
かつては、正月になってから競技を始めていたのを、1994年度(第73回)からは年末から始めることにした。連日の試合をある程度は避けて、休養日がとれるようになった。
しかし、それでも選手の疲労度を考えると90分試合は無理らしい。現在は決勝以外は80分試合となっている。
この問題を根本的に解決するには、全国大会出場のチーム数を減らすか、大会期間を長くするしかない。
郷土意識を刺激する1県1代表制は、地方のサッカー振興のためにも、大会の人気のためにも維持していきたいところだろう。全国大会出場校は48校のまま維持したい。
★大胆な改革を検討せよ
大会期間をさらに延ばして、冬休みからはみ出させるのはどうか?
これまでのように「学校教育との両立」を重視すると、これも難しいように思われる。
しかし、時代が変わり、社会環境が変わったことを考慮して、大胆な発想転換はできないだろうか。一つの例として、次のような案は無謀だろうか?
全国大会を11月から始めて日曜日ごとに試合をする。
48校を4チームずつ12グループに分けて1次リーグをする。その1位を3チームずつ4グループに分けて準々決勝リーグをする。
リーグ制を導入することによって、レベルの高いチーム同士の試合経験を増やすことができる
2度のリーグ試合は各地に分散して行う。正月に行うのは、準決勝と決勝だけにする。
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