◆PK戦続出を防ぐには◆
〜第85回高校選手権雑感(4)〜
(2006年12月31日〜2007年1月8日)
★運で争うのはよくない
今回、2006年度の高校選手権はPK戦が異常に多かった。3回戦終了まで40試合のうち15試合がPK戦になった。
これまでの大会でPK戦がもっとも多かったのは1993年度大会の16試合である。
今回は、準々決勝以降にはPK戦がなかったので、最多記録にはならなかったが、前年の7試合にくらべると倍以上である。
多かったのは3回戦だ。8試合のうち5試合がPK戦だった。
決勝に出た盛岡商(岩手)も、作陽(岡山)もPK戦だった。
広島皆実(広島)と丸岡(福井)は1回戦からの3試合が全部得点0で、PK戦でベスト8に出た。
PK戦は「運のもの」である。運で選手権が争われるのは、スポーツらしくない。
★守備重視の傾向
PK戦が多かった原因の一つは、全国的なレベルアップと優勝争い常連名門校の地位低下だろう。その相乗効果で大半のチームが「うまくいけば優勝も狙える」という気持ちになっている。
「うまくいく」ためには、途中でぶつかる優勝候補との対戦を、なんとか、しのがなくてはならない。そこで守りを固めて勝機をねらうことになる。その守りのレベルが上がっている。個人としても守りのいい選手が増えてきているし、チームとしての守りも進歩してきている。
「以前はキャプテンは、たいてい中盤プレーヤーだったけどね。いまはディフェンダーやゴールキーパーも多い」と友人が言っていた。「なるほど、そうかね」と思った。守備重視の傾向の表れだろうか?
★90分試合で延長戦ができれば……
PK戦続出を防ぐには、試合時間の中で決着がつくようにしなければならない。
現在の高校選手権では、決勝戦以外は、試合時間80分である。これを90分にすれば、かなり引き分けは減るだろう。
それでも引き分けに終わった場合は延長戦である。延長、再延長でも決着がつかなければ3日後再試合である。
というようにすれば、いいのだが、これは実際には難しい。
第一に連戦の選手たちの健康の問題がある。第二に高校の冬休みの間に終わらせなければならないという学校教育上の制約がある。そして第三に時間枠にしばられているテレビ中継の都合がある。
これを変えるためには、高校サッカー全体の仕組みを変えなければならない。
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