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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌 2007

◆盛岡商初優勝、決勝は好試合だった◆
 〜第85回高校選手権雑感(1)〜
 (2006年12月31日〜2007年1月8日)


★盛岡商が作陽に逆転勝ち
 第85回(平成18年度)全国高校サッカー選手権大会で、岩手県代表の盛岡商業高校が初優勝した。「走って、走って、不屈の逆転」というのが新聞の見出しである。技術の作陽高校(岡山)に対して、盛岡商が「体力と気力で勝った」というように取れる。
 しかし、この試合は技術で盛岡商が劣っていたわけではない。
 盛岡商は、前半から攻勢に出ていた。作陽は守勢だった。
 後半11分に、作陽が逆襲速攻から先取点をあげた。優勢だったほうがリードされたから、試合はおもしろくなったので、劣勢を覆して逆転したわけではない。
 盛岡商がサイドから崩して、27分に同点、延長になるかと思われた40分に逆転。ともに、いい形の攻めから得点した。懸命な守りもあり、スリリングな好試合だった。
 
★技術もある盛岡商 
 体力と気力が強調されがちな高校サッカーだが、勝敗を分けている重要な要素は、技術とチームプレーである。
 前半、盛岡商が攻勢だったのには理由がある。
 作陽は守備ライン右サイドの桑元剛の攻め上がりが一つの武器だった。攻めあがったあとに中盤から1人下がってきて、4人の守備ラインを組み直すのだが、それが不安定だった。そういうときに作陽のストッパーがボールを持つと、盛岡商は前線の東館勇貴と成田大樹が寄って出てミスを誘った。それで作陽はしばしばピンチになった。
 東館も成田もテクニックがある。成田はドリブルが速い。
 守りもよかった。ストッパーの藤村健友と中村翔がしかりしている。
 盛岡商には、いいプレーヤーが要所要所にいる。
 
★斉藤監督の用兵的中 
 作陽がリードし、盛岡商がPK失敗で同点機をのがしたあと、盛岡商は後半25分に選手交代をして大山徹を出し、中盤の左サイドに配した。
 交代2分後の27分に、出場したばかりの大山が、左から抜け出して、ゴール前へパスを出し、林勇介が決めて同点に追いついた。 斉藤重信監督の用兵的中である。
 決勝点はテクニックと速さのある成田が走り出てパスを出し、ゴール前へ通し、東館がスルー、千葉真太朗が決めた。各選手の特徴を生かした、みごとな組み立てである。千葉は判断のいいプレーヤーのようだ。
 そういうわけで、盛岡商の勝因は体力と気力だけではない。
 お互いの気力と体力が限界に近づいたときに、選手一人一人の技術と判断力が、ものをいう。だから監督の用兵が終盤にきわだつのである。

 

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