◆後藤健生『日本サッカー史』に特別メディア賞◆
〜ビバ!サッカー恒例の年間表彰決定 (6)〜
★辛苦の結実、「改訂版」と「資料編」
友人のサッカーライター、後藤健生さんが
『日本サッカー史』改訂版と「資料編」を出した。非常な努力と苦心のすえの労作である。
そこで、これまでに例のないことではあるが、わがビバ!サッカーから特別メディア賞を贈ることにする。
「仲間うちで誉めるなよ」という声もありそうだが、ビバの表彰は真に価値あるものを対象にするので、そういうことは気にしない。
『日本サッカー史』改訂版と「資料編」の発売は、1月中旬だということである。
そうすると、2006年度の表彰の対象ではないことになるが、ビバの表彰は、そういうことも融通自在である。来年の1月に取り上げたって、もう書店には並んでいないかもしれないではないか。読者のために、間にあうように表彰するのも、ビバの方針である。
★歴史は改訂されるべきだ
後藤さんが『日本サッカー史 代表編』を出したのは、2002年だった。当時、日韓ワールドカップ前後の忙しいときに労作を仕上げた努力に感心した。
今回の出版は『日本サッカー史 日本代表の90年』というタイトルの改訂版である。
ぼくが特に感心したのは、改訂版を出したことだ。
不備や誤りをただし、その後に分かったことを補充する。これは歴史にとっては重要なことである。だから改訂すべきだが、これは想像以上にたいへんなことである。
人間は不備や誤りを認めたがらないものである。
補充は著者としては、やりたいことだが、出版社にとっては、10版、20版と売れる本ならばともかく、この種の地味な本では利益にならない。
そういうわけで今回の表彰には、著者だけでなく、出版社もふくめたい。
★「資料編」に日本代表の全記録を網羅
「資料編」は別冊になっている。
これには、1917年(大正6年)以来の日本代表チームの試合記録が、全部載っている。スコアだけではない。日本側のメンバーはもちろん、相手チームのメンバーも分かったものは全部載せてある。得点者と得点時間も載っている。
昔の記録は、もともと不備だし、記録用紙はほとんど残っていない。調査するのがたいへんである。対戦相手の国の図書館に行って、当時の新聞を調べるなど、超人的な努力を払っている。
この「資料編」こそ、一般に売れる見込みは薄い。それをあえて出版した双葉社の英断も称えたい。それだけに、いま購入しておけば、将来、貴重なものになるに違いない。
特別メディア賞で、仲間うちの表彰をしたわけが、理解していただけただろうか?
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