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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年12月24日(日)

FIFA Club World Cup Japan 2006
◆財政的に無理をしていないか?◆
 
クラブ・ワールドカップ総まとめ(5)
  (12月10日〜17日、豊田、東京、横浜)


★3億円の黒字だというけれど…
 日本サッカー協会の川淵三郎会長は「クラブ・ワールドカップは3億円の黒字になる見通しだ。前年は1億5千万円の赤字だったが……」と話した。大会最終日の記者会見でのことである。
 詳細は、まだ明らかになっていないので、一般論としていうと、広告企業が中心でやっているスポーツイベントの財務事情は、複雑で分かりにくいものである。無料入場者の入場券の処理の方法にもいろいろあるのは、その例である。
 この種の大掛かりな国際イベントの大きな収入は、テレビの放映権料である。その処理の仕方もいろいろあって、公表された数字だけでは、実情は分からないことも多い。
 放映権料は国際競技連盟(サッカーではFIFA)がとり、大会の運営は入場料収入と看板広告で、開催国の競技団体の責任だおこなうという方法もある。
 
★旧トヨタッカプより経済的に困難
 2004年まで日本で行われていた旧トヨタカップ(インターコンチネンタル・カップ)に比べると、FIFAのクラブ・ワールドカップは経済的には効率が悪い。
 旧トヨタカップは、欧州と南米のチャンピオンの対決による1試合だけだった。チーム経費は2チーム分だけ、会期は1日だけ、カードは世界最高レベルの1試合だけ。だから、入場券もテレビ放映権も売りやすい。
 クラブ・ワールドカップは、8チームを招き、大会期間は8日間。7試合のうち世界レベルで見て魅力的なカードになりそうなのは、1〜3試合である。外国同士のサッカーを見るファンの多い日本でも、全試合で多くの観客を集め、高い視聴率を得るのは難しい。
 開催国が入場料収入で運営費をまかなうのであれば、相当な努力を要することになる。広告を集めるのもたいへんだし、国によって能力にかなりの差があるだろう。 

★経費と責任の分担を合理的に
 したがって、日本以外の国で開催するのは、なかなか難しいかもしれない。
 そうだとすれば、華美な支出を押さえて簡素な運営をする必要がある。FIFAは、はなやかに、きちんと運営されたことを賞賛するだけではいられないはずである。
 また、国際競技団体と開催国の経費と責任の分担を合理的にする必要がある。
 サッカー発展途上地域のチームを参加させるのは、FIFAの当然の責務である。
 したがって、入場料収入を期待できないチームに関する経費は、FIFAが負担すべきものということもできる。放映権料をFIFAが得ているのであれば、その中から、収入を期待できないチームの経費を支出するべきだと主張できる。
 日本は「継続的に開催させてほしい」とFIFAにお願いするのではなく「FIFAが日本開催を望むなら、こういう条件でなら引き受ける」と要求すべき立ち場ではないか?

 

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