◆シュート1本で勝利の珍記録◆
(12月9日、磐田 1−0 大宮)
★天皇杯5回戦、ヤマハ・スタジアムで
「サッカーでは、どんなことでも起きる」というけど、ほんとだね。シュート1本のチームが勝ち、シュート13本のほうが敗退した試合を見た。ヤマハ・スタジアムで行われた天皇杯5回戦である。
シュート数に大差があっただけでなく、試合内容も一方的だった。大宮アルディージャは、守りは堅く、中盤を支配し、攻めにも、いろいろ変化があった。前半の大宮のシュート8本のうち、少なくとも5本はジュビロ磐田の守りを攻め崩した形からだった。
それでも点が入らなかったのは、大宮の森田と藤本らが、シュートをことごとく枠の外にはずしたからである。
だから、大宮の「敗因」は例によって「決定力不足」「ストライカー不在」と決まり文句で片付けることもできる。
★「勝因」は神様のおかげ
しかし、1対0で勝った磐田の「勝因」をあげることは難しい。勝因を質問されて、磐田のアジウソン監督は「神様にありがとうと言うほかはない」と苦笑いした。
磐田の1点は後半11分である。磐田のゴールキーパーが蹴ろうとしたボールに、大宮の選手が足を出そうとして反則をとられた。それでペナルティエリア右隅近くでフリーキックなった。ハーフライン近くの右よりで、ゴールキーパーのパントキックを競り合うつもりでいた双方の選手はちょっと、タイミングが狂った。それで、こぼれ出たボールを、磐田の前田がちょんと前へ出した。中盤の西がすばやく走り出て独走ドリブルで決めた。
磐田のシュートらしいものは、後にも先にも、この1本だけである。
西のすばやい走り出しがよかったとは言える。また西は後半から交代出場した選手だからアウジソン監督の用兵的中とも言える。でも、実はラッキーだったというしかない。
★珍記録、快記録集を作ろう
ぼくも神様に幸運を感謝した。この試合を見ることができたからである。翌日、豊田市でクラブ・ワールドカップが開幕する。それを見に行くついでに、たまたま途中下車して立ち寄ったら、珍記録にぶつかったわけである。
ぼくは、若いころからスポーツの珍記録、快記録に興味を持っていた。40年くらい昔の話だが、週刊「少年マガジン」に「スポーツの珍記録、快記録100」とか、「プロ野球の珍記録、快記録50」という原稿を書いたことがある。漫画のページの欄外に1行づつ載せるたぐいの雑録である。サッカーの珍記録集もまとめてみたい。「愚にもつかない」といわれれば恐れ入るほかはないが、けっこうおもしろいじゃん。
ところで「シュート0で勝った」という試合を誰か、ご存知だろうか? オウンゴールであれば、可能性はあるのだが……。
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