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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年11月18日(土)

◆中央集権強化主義に反対◆
(11月14日、札幌で柴田勗さんに会う)
 
 
★室内サッカー導入の功労者
  札幌に日本対サウジアラビアの試合を見に行った機会に、札幌大学名誉教授の柴田勗(つとむ)さんにお目にかかった。柴田さんは日本に室内サッカーを紹介した功労者である。1970年代のはじめのころ、ブラジルの室内サッカー「フチボウル・デ・サロン」を移入し「サロン・フットボール」と名付けて普及させた。それが現在のフットサルの発展につながっている。またSSS(札幌サッカースクール)を主宰して子どもたちを育て、山瀬功治(マリノス)などのJリーガーを生んでいる。日本のサッカーの発展のために幅広く活動してきた方である。
  子どもたちを伸ばすには、ゲームをたくさんやらせるのがいい。そういう環境を作ってやることが大事だ。型にはまった練習ばかりでは才能は伸びない。そういう考えで、一貫して少年たちを育ててきている。

★「教典」は弊害を生む
  いろいろ有益なお話をうかがったなかで「キョーテンは困ったものですな」という一言が、いちばん印象に残った。「これは日本サッカー協会の指導マニュアルのことだな」とピンときた。「こういうふうにサッカーを教えなさい」という「教典」にしたがって、全国で同じ指導をすれば、ペレやロナウジーニョは育ってこない。そういう意味だと思った。ぼくが長年、主張してきた「中央集権強化主義反対」と同じ考え方である。
  日本サッカー協会は、公認コーチ制度を設け、その資格を与えるための講習をする。そのためのテキストも作る。CDなどもある。それはそれで悪くはない。一つの考え方として参考にすればいい。
  でも日本サッカー協会が「この印籠が目に入らぬか」という調子で権威を振りかざすと「教典」は参考資料ではなく「金科玉条」になってしまう。

★もっとフットサルを
  そんな弊害を生むくらいならサッカー協会の「教典」はないほうがいい。いろいろな人が書いた指導書や民間の講習会、研修会を参考にして、指導者が自主的に勉強する機会があればいい。サッカーに官製の「学習指導要領」はいらない。
  さらに言えば、子どもたちには自由にボールを蹴って遊ぶ機会を与えさえすればいい。 ペレやロナウジーニョは、そういうなかから生まれた選手である。いわゆる「ストリート・サッカー」が天才を生む。
  とはいえ、現在ではストリートには自動車があふれて、子どもたちがボールを蹴って遊ぶのは危険である。
  それなら、狭いフィールドでもできる「フットサル」がいい。柴田さんも同じ考えだろう。北海道を中心にフットサルを、もっと普及させたいと思った。

 

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