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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年9月7日(木)

◆高地イエメンでのふしぎな勝利◆
アジアカップ予選
イエメン 0−1 日本
(9月6日、サヌア)


★内容より結果が重要
 アジアカップ予選の中東遠征第2戦で、日本はイエメンに勝った。同じ日に少し遅れて行われた試合で、インドがサウジアラビアに敗れたので、サウジアラビアとともに、2試合を残して日本の予選突破が決まった。順当な結果である。オシム監督は事前に「結果より(将来のために)内容がだいじだ」と、負けた場合の言い訳のようなことを言っていたが、アジアの選手権をめざすタイトルマッチなのだから、結果、つまり勝つことのほうが重要な試合である。だから、勝ったのはよかった。
 とはいえ、内容も気になる。
 TBSのテレビ中継で見たのだが、勝ったのが、ふしぎな試合だった。
 Jリーグのシーズン中の過酷な日程である。試合会場のサヌアは標高2300b。空気が薄い。ピッチの芝生はでこぼこ。すべて遠征の日本に不利である。
 
★パワープレーの成功
 日本はホームの第1戦で勝っているのだから引き分けでもいい。不利な環境の中での試合だから守備策をとる手もあった。
 また、空気が薄いから走り回ると、すぐ息があがってしまう。芝生がでこぼこで、ドリブルやグラウンダーのパスには向いていない。だから、低いパスをつないで走るより、ボールを大きく動かす「放り込み」が、いいかもしれない。
 しかし、オシム監督は、どちらの策もとらなかったようにみえた。
 日本優勢のまま引き分けに終わろうとしていたが、後半のロスタイム(4分)に入ったところで決勝点が生まれた。
 後半45分、相手のクリアボールを拾った坪井が、ゴール前の巻に合わせ、巻がへディングで落したボールへ我那覇が走り込んだ。
 終了まぎわに、勝ちを狙ってパワープレーをかけたのが成功した。
 
★終わりよければ・・・
 パワープレーは、もともとアイスホッケーの用語である。リードされているチームが終了近くになるとゴールキーパーまで攻撃に参加させて、いちかばちかの総反撃を試みる。
 オシム監督は、身長185aの闘莉王を守備ラインからあげて攻撃に参加させた。また、最後に167aの羽生直剛に代えて182aの我那覇を出した。184aの巻とともに、長身選手を前線に並べて放り込みからヘディングを狙う意図だろう。サッカーのパワープレーである。
 引き分けでもいい試合だったのにリスクをおかして総攻撃をかけたのは、ふしぎである。
 ピッチがでこぼこだから浮き球の攻めを狙う手もあったのに、最初はパスをつなぐサッカーをしようとしていたのは、ふしぎである。
 空気が薄いところで、選手たちが最後まで頑張ることができたのも、ふしぎである。
 ともあれ「終わりよければ、すべてよし」かもしれない。

 

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