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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年8月24日(木)

◆Jリーグの試合後の記者会見◆
 川崎 4−2 名古屋
(8月23日、等々力スタジアム)


★まず、監督がコメント
 Jリーグの試合のあとの監督記者会見には決まったパターンがある。
 司会者(ホームチームの広報担当者)がまず「最初にきょうの試合について監督の感想をおうかがいします」と述べて、監督が話をする。そのあとに、記者たちが質問をする。それが決まりである。
 8月23日の川崎フロンターレ対名古屋グランパスエイトの試合後の記者会見のようすを紹介しよう。
 アウェーチームの監督が先に会見をする。
 名古屋のフェルフォーレン監督は、自分たちの作戦の内容を、かなり詳しく説明した。守備ラインの詰めがあまかった。とくにサイドのプレッシャーが足りなかった。そのために早い時点(前半39分)にサイドプレーヤーを2人同時に代え、後半の選手交代が制約された。試合が川崎のペースになったのに対処できなかった。というような内容である。
 
★いい質問は出ない
 続いて川崎の関塚隆監督が会見した。
 「ホームのサポーターの前でフロンターレらしい試合をしようと話した。そのとおりにいい試合ができた」
 フェルフォーレン監督が戦術面の解説をしたのに対して、関塚監督の話は主として精神面である。内容は本当だろう。しかし、試合のポイントに則しているわけではない。
 川崎は前節に新潟に敗れ、3試合勝ちなしだった。首位争いに踏み止まるために、ここは絶対に勝たなければならない試合だった。だから4連勝と好調の名古屋を食い止めるためにに特別の対策をしたはずである。精神論よりも、そっちの話を聞きたい。
 監督のコメントが終わったあと、記者のほうから、その点を質問して追及すべきところだが、そういう質問は出ない。司会者が「質問がなければ終わります」と言って、記者会見が終わった。
 
★スター選手のほうが記事になる
 監督の記者会見で、いい質問が出ないのは、いつものことである。
 その理由の一つは、作戦的あるいは技術的な話は記事になりにくいことである。読者は監督の話よりもスター選手の話を好む。この日も、2点をあげたジョニ―ニョと新しい日本代表で1点をあげた我那覇にインタビューが集中していた。
 もう一つの理由は、質問をすると「記事の手の内がばれる」ことである。たとえば「川崎が名古屋の守備ラインを混乱させることができたのは、中盤からサイドへの意図的な走り出しが効果的だったからだ」と、記者が考えたとする。記者会見の席で、それを質問すると「あいつは、このことを記事にしようとしている」と他社の記者に分かってしまう。
 共同記者会見は黙って聞くだけにして、自分の考えの裏づけは、あとから個人的に聞く。そういいう考えの記者もいる。 

 

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