◆ワールドカップの入場券問題◆
ビバ!サッカー研究会月例会
(8月20日、渋谷勤労者福祉会館)
★ネット上で10倍以上
ビバ!サッカー研究会の8月の集まりで「ワールドカップの入場券問題」を取り上げた。ドイツに行った会員のなかの2人に、それぞれの体験を報告してもらい、それについて意見を出し合った。内容は別に公表してもらうつもりだが、ここでは、仲間たちの話をきいて、ぼくが考えたことを書き留めておこう。
ワールドカップの入場券を手に入れるのは非常に難しかった。まともに買おうとすると抽選だ。めったのことでは当たらない。インターネット上で流通しているものを買うとべラボーな値段だった。日本対オーストラリアの試合の切符を日本で15万円で手に入れてドイツに来ていた人がいた。カテゴリー1の切符で定価は
100ユーロ、約1万5千円の席である。つまり定価の10倍で買ったわけである。
20万円以上出した人もいるという。日本ードイツ往復の航空券よりも高い。
★現地では値崩れ
ところが、現地のダフ屋から買えば、ずっと安い。日本-オーストラリア戦は、当日、試合開始3時間前にカイザースラウテルンの駅で
100ユーロの切符が 400ユーロ。試合開始のころには、スタジアム付近で定価で買えたという。
商品の価格は需要と供給の関係で決まると高校の社会科で習ったことがある。
日本戦の入場券が日本で売り出されたころは、需要が非常に多くて供給は非常に少ないように思われていた。だから、べラボーな値段で取り引きされた。
ところが、ドイツに来て見ると、切符はダフ屋の手元にたくさんある。つまり供給は十分にある。切符を持たないでドイツに来ている日本人は、そんなにはいない。つまり需要は少ない。だから値崩れしたわけである。カードによって事情は違うが、需要と供給の関係が価格に反映していないのは似たようなものだった。
★ネット販売の弊害
こういうことが起きる一つの大きな原因は、思うにインターネットっである。
最初にFIFAあるいは日本サッカー協会に申し込むとき、パソコンは手間がかからないから、おおぜいの人が、いっせいにアクセスする。サッカーにそれほど興味のない人も「抽選で当たれば儲けもの」とクリックする。だから高い倍率になって、本気でドイツに行く計画を立てている人には当たらない。
たまたま当たった人は、自分は行かないわけだから、ネット上のオークションに出品する。そうすると、その切符に希少価値があるような錯覚が生まれて価格が釣りあがる。
切符が手に入らなかった人はドイツ行きを断念する。だから現地では需要が少ない。
仲間たちの話をきいていると、ほかにも、いろいろ入り組んだ事情があるようだった。いずれ、みなで本にまとめてみたいと思っている。
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