◆田島専務理事の評論に疑問◆
日本 2−0 イエメン
(8月16日、新潟ビッグスワン)
★1点目がカギだった
アジア・カップ予選の日本対イエメンの試合について、日本サッカー協会の田嶋幸三専務理事が「最後に2点目をとれたのが、本当に大きかった」と話している。13日付の新聞に載っている。どういう意味だろうか?
イエメンは強敵相手のアウェーだから引き分けでもいいと守りを固めてくる。その堅い守りをこじ開けて、まず1点をとるのがカギだった。
日本にとっては、最初の1点をとることが、もっとも困難であり、重要である。1対0でも勝てばいい。
イエメンは守りに守って、0対0で頑張っていたが、日本は後半25分に、ついに1点をとった。
こういう試合では、そのあと2点目、3点目が入る可能性が強い。守っていたほうが気落ちしてしまうからである。そう考えれば、2点目以降は「つけ足し」である。
★2点目がなぜ「大きい」のか?
イエメンは4:5:1の布陣で、ワントップ以外は、ほとんど下がって守った。日本は、この堅い守りを攻めあぐんでいた。ようやくゴールをこじ開けたのは、試合開始から70分たってからだった。
羽生がドリブルとワンツーで、強引にイエメンの守備網に突っ込み、コーナーキックを得た。その右コーナーキックを三都主が蹴り、阿部がニアポスト前に走りこんで決めた。攻め方を変えた羽生と阿部の判断が良かった。後半から羽生を交代出場させたオシム監督の用兵も当たった。これで事実上、勝負ありである。
2点目は、6分間のアディショナル・タイムの終わりごろである。左後方からのフリーキックを三都主がゴールめがけて蹴り、ゴールキーパーがこぼしたのを佐藤寿人が押し込んだ。とくに見事なプレーではなかった。この2点目がなぜ「大きい」のか?
★千葉トリオでこじ開ける
田嶋専務理事は、3週間後のイエメンのホームの試合で、1対0で負けるケースを想定したのだろうか。あるいは、アジア・カップ予選はグループ・リーグだから同勝ち点で得点数がものをいうケースがあることを考えたのだろうか。
この試合で重要だったのは、堅い守りをこじあけることに成功した1点目である。それまでは、攻めに攻めながら、イエメンのゴールを割れなかった。相手の守備網の外側からのシュートやクロスが、ことごとく防がれた。下がって守る相手に対しては、外側からの放り込みだけでは、なかなか点は入らないものである。
堅い守りを攻め破る方法を見つけられなかったのは前半の問題点だった。それを、オシム監督、羽生、阿部の千葉トリオが、やっと解決した。それが、この試合のポイントだった。にもかかわらず、田嶋専務理事が「2点目」を強調した意図がわからない。
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