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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年8月4日(金)

◆オシムの抵抗と協会の責任◆
トバゴ戦のメンバー発表
(8月4日午後、JFAハウス )

★最初の発表はたった13人
 キリンチャレンジカップの国際試合、対トリニダード・トバゴ戦の日本代表メンバー発表は、JFAハウスの会見室が超満員。テレビの取材が11台、記者が約150人。座りきれなくて立ちん坊の記者が多数いた。
 ところが発表されたメンバーは13人だけ。8月9日の試合までに順次追加していくという。これまでにない珍形式の発表である。
 察するところ、これは日本サッカー協会に対するオシム監督のレジスタンスである。
 この時期、Jリーグの各クラブは自分たちの試合を抱えている。A3チャンピオンズ・カップがあり、中国、韓国に親善試合のため遠征するチームがあり、欧州のチームを迎えて試合をするクラブがある。こういうチームからは選手を招集することができない。
 こんな非常識な日程に手を縛られていては、選手を集められないよ、ということを示すために、わざと13人しか選ばなかったのだろう。
 
★田島専務理事の立場は?
 「私が監督を引き受けたときは、すでに日本サッカー協会の年間スケジュールは決まっていた。私の力では、どうすることもできない。今後、こういうことのないようにしてもらいたい」と、オシム監督が、隣に座っている協会の田島幸三専務理事に要望した。
 田島専務理事は、不手際をあやまり、今後こういうことのないようにすると約束した。でも、田島専務理事は、このスケジュールを決めたとき、日本代表の強化を担当する技術委員会の委員長だったのだ。代表チームの日程つくりの責任者だったのだ。他人事のように形式的に陳謝してすむことだろうか。
 日本がワールドカップで不成績だったことについても技術委員長には直接の責任がある。 結果に対して責任をとるべき立場なのだから、結果が悪ければ引責辞任が当然である。それが専務理事に昇格して「今後は気をつけます」ですますのは、おかしいではないか。

★浦和中心に現実的な人選
 ところで、発表された13人のうち6人は浦和レッズの選手だった。思うように選手を集められないときに一つのクラブを中心に代表チームを編成するのは、よくある手である。オシム監督は、それを取り入れている。
 浦和は、バイエルン・ミュンヘンを招いての親善試合をすでに終えている。それに、国際試合の経験のある選手を多数抱えている。 浦和を中心に9日の試合を戦おうと考えたのは当然である。
 代表の新しいスタートだから、むざむざと負けるわけにはいかない。負けないためには守りが重要である。だから守備ラインは浦和勢を主力に固め、中盤と前線にも浦和の選手を中核として、それぞれ選んだ。こうしておけば、チームワークの点での不安は少ない。
 オシム監督は、サッカー協会に対する不満を示しながらも、試合はちゃんと戦えるように現実的な人選をした。さすがに老練である。

 

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