[試合のメモ]
(キリンカップ第1戦、 日本 1−2 ブルガリア)
@新聞にあおられてがんばる?
ワールドカップ代表23人が5月15日に発表されることになっていたので、新聞は「アピール最後の機会」と書き立てた。実際には、ジーコ監督の頭の中でメンバーはすでに固まっているはず。ここでの活躍がものをいうとは思えないが、当落線上とみられる選手たちは、新聞にあおられたかのように、いい動きを見せた。巻、遠藤、阿部、加地亮などのがんばりが目立った。しかし、張り切りすぎて前がかりになり、攻めを急いだのが、シュートが決まらない原因になったのかもしれない。また、立ち上がりに守備陣が裏をつかれて失点したのも、気負って最初から攻めようとしたためかもしれない。
気の毒だったのは、前半おわりごろ、左ひざを痛めて退場した村井慎二。前十字靭帯損傷の疑いという診断で戦列を離れた。
A久保の欠場申し出はプロ意識?
得点源として期待の大きい久保竜彦が足首の痛みで出場しなかった。試合後の記者会見で、ジーコ監督は「久保は自分から欠場を申し出た。プロフェッショナルらしい態度だった。この時期に無理をすることはないので起用しなかった」と説明した。前日の練習のときに違和感を覚え、踏み込むと両足首に痛みを感じたという。自分から欠場を申し出たのが、なぜ「プロらしい態度」なのかは、よくわからなかったが、勝ち負けが重要な試合ではないから、だいじをとったのは当然だ。
しかし、このところ元気のない試合ぶりが目立ちケガも多いだけに、必ずしも「ワールドカップ代表に選ばれることは間違いない」とあぐらをかいていられる立ち場ではない。「巻のほうがいい」という声もあるのだが・・・。
B3バックか、4バックか?
守備ラインの組み方は、ジーコ監督が、ずっと抱えてきた問題だった。この日はいわゆる3:5:2のシステムでスタート。中盤は福西崇史が守備的に、遠藤が攻撃的に、阿部が中間に位置して前がかりな布陣になり、守備ラインは不安定だった。後半16分に攻撃的中盤に小笠原満男を、中間的ポジションに小野伸二を入れ、遠藤を守備的な位置に移して4バックに変えた。結果的には、後半の4:4:2のほうがバランスが良く、安定していた。
システムの選択は時と場合によるけれども、ジーコ監督は「4バックが好みだ」というのが一般的な見方である。ブラジルは伝統的に4バックだったからである。日本も4バックを使いこなせるようになってきているのは頼もしい。
Cブルガリアは「仮想クロアチア」
ブルガリアとの試合は「対クロアチア」を想定したカードだった。ワールドカップのグループ・リーグで対戦する相手を考え、ブラジルを仮想してエクアドルとの親善試合を組み、キリンカップではクロアチアを仮想してブルガリアを、オーストラリアを仮想してスコットランドを選んだ。
実際の対戦相手と仮想の相手では、レベルもスタイルも同じではない。しかし同じ地域の国のサッカーに共通点が多いのは、スポーツのおもしろいところである。クロアチアは旧ユーゴスラビアの北部で、東欧らしい技術とスピードとチームワークが特徴。旧東欧でもブルガリアは南方系で技巧的な感じがする。「仮想クロアチア」になったかどうか?
|