[試合のメモ]
(Jリーグ第12節、FC東京 1ー2 大宮アルジージャ)
@FC東京先制のPK
前半8分、FC東京の先制点はペナルティキックだった。試合後の記者会見で、大宮の
三浦監督は「あのPKには、いろいろあるでしょうけど・・・」と口をにごしたが、スタンドから見ていたかぎりでは、疑問の余地のないPKだった。FC東京が鋭く攻め込んで
シュートがポストにあたって跳ね返った。そのとき、もつれあって倒れた大宮の選手が、
起き上がってプレーを続けようとしたFC東京の選手の足を手で引っ掛けて倒した。意図的ではなかったかもしれないが、記者席からはそう見えた。FC東京の選手は、倒されなければ、跳ね返りのボールに追い付いて、ゴールをあげる可能性が十分あった。三浦監督のコメントには続きがある。「それにしても、前半のわたしたちの試合ぶりからすれば、FC東京のリードは当然でした」。そういう趣旨の話だった。
AW杯代表候補のプレーぶり
ドイツ・ワールドカップを控え、Jリーグ中断前の最後の節だったので、このあとに行われるキリンカップに日本代表として招集されている選手に注目が集まっていた。ジーコ監督は、一人一人の選手の力量と特徴は、とっくに見極めているに違いないので、今になって一つ一つの試合の「でき不でき」が影響するとは思われない。ジャーナリズムが話題を作っているだけの話である。しかし「ケガ」となると話は別だ。この試合では、FC東京のディフェンダー茂庭照幸が、前半34分に倒れて交代退場した。「右もも裏負傷」ということだった。重大な負傷か、大事をとったのか、この時点では分からなかった。
B大宮の「放りこみ」
大宮は後半に、にわかに活気づいて攻めたが、攻めのパターンは大部分が「放りこみ」である。サイドから攻め、タッチライン近くの中盤から直接、あるいは後方からオーバーラップしてコーナー近くに走りこんで、長いキックをゴール前に送る。切りこんで相手の守備を引き出してゴール前にあげるのではない。敵味方密集しているゴール前にいきなり放りこむ形が多い。試合後の記者会見で聞いてみた。「放りこみが多いのは、きょうの相手を考えての作戦か? それとも、大宮のいつものスタイルか?」。三浦監督の答えはこうだった。「いつもの方針です。ともかく、ペナルティエリア内にボールを入れないことには、ゴールは生まれませんから」。ぼくは必ずしも同意見ではない。
C小林大悟の決勝点
大宮の決勝点をあげたのは小林大悟である。大宮が白星をあげた4試合は、すべて小林大悟が決勝ゴールをあげているという。キックもドリブルもうまいキッカーとして、またパスも守りもセンスがある中盤プレーヤーとして、東京ヴェルディから移籍してきた。23歳。大宮の大量補強の成功例である。決勝点を生んだ直接フリーキックのとき、手元の時計では後半のロスタイム3分はもう過ぎていた。「あとワンプレーをみて、主審は終了の笛を吹くんだろうな」と思った。ところが、ペナルティエリア外、右より、約22bからの直接フリーキックは、これしかないというコースをとおって左隅を直撃した。主審がキックの時間を見てロスタイムを延ばしたのは正解だと思う。その後のワンプレーは、みる必要もなかった。
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