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◆ビバ!スポーツ時評

ビバ!サッカー観戦日誌(2006/5/10up)

ジェフ・ユナイテッド市原・千葉 0-0(0-0) ジュビロ磐田
4月22日(土) 晴 蘇我 フクダ電子アリーナ(午後3時〜) Jリーグ第9節 

なぜ、ゴールが生まれないか?

☆クロスだけでは崩せない
 京葉線の蘇我駅に降り立ったら、サッカーライター仲間の李春成さんに、ばったり会った。スタジアムに向かって歩きながら、前節に見た磐田と広島の試合を材料に「ジュビロは、あの試合では3点あげたが、きょうは点をとれないだろう」と話をした。磐田は若手起用で活気が出てきている。しかし、大きなクロスをあげる攻めで、その精度は低い。あれではジェフの守りを崩せない。ジェフは巻誠一郎が頑張っているから巻を生かして1点ぐらいはとるかもしれない。「ジェフが勝つかな」という予想である。
 結果は0対0の引き分け。ジュビロの無得点は的中したが、ジェフのほうも無得点で、予想がはずれた。

☆守りがいいから
 ゴールは0だったが、試合はおもしろかった。スピーディーな攻めあいから目が離せない。両チームとも守から攻への切り替えがはやく、ボールを奪うとすぐ、相手のゴールに向かう。シュートも多い。ジェフが12本、ジュビロが19本である。
 それで、なぜ、ゴールが生まれないのか?
 第一の理由は、もちろん守りがいいからだろう。しっかり守られたら、なかなか点が入らないのがサッカーだ。この日は、双方のゴールキーパーに見せ場が多かった。ジェフの立石智紀にも、ジュビロの川口能活にも、シュートをパンチングではじき出す場面が何度もあった。これは、ゴールの枠内に飛んだ鋭いシュートが多かったということでもある。こういうシュートを防いでもらっているうちに、守りはリズムにのってくる。中盤でのきびしい寄り、ゴール前での必死の守りがスタンドをわかせた。

☆攻めを急ぎすぎるから
 点が入らない第二の理由は、攻めを急ぎすぎたことではないか? ボールを奪うと、すぐ縦に攻めようとする。とくに前半、ジェフのほうに、その傾向が強かった。大きな縦パスを出し、いきなり前線の巻のヘディングにつなごうとする。記者席に配布された広報のプリントによると、オシム監督はハーフタイムに「ボールを持ったとき、もう少し何かできるはず。ただ上げてしまっている」と注意し、ジュビロの山本昌邦監督は「両サイドをうまく使って攻撃していこう」と指示したといいう。縦に急ぎすぎることを、双方の監督が感じていたようである。速攻も必要だが、急ぎすぎるとシュートが不正確になる。この日、ゴール枠に飛んだシュートも多かったが、ポストをわずかに外れたりゴールキーパーの正面をついたシュートもあった。もう少し落ち着いてシュートを狙えるような展開もあってもいい。

[試合のメモ]
(Jリーグ第9節、ジェフ市原千葉 0ー0 ジュビロ磐田)

@上位進出を狙う対決
 ジェフもジュビロも、優勝争いの一角を占めることを期待されていたが、シーズンの出足はもたついた。第8節を終わった時点でジェフが8位、ジュビロが9位。双方とも、調子を持ちなおしてきたところで中位同士の対決。勝ったほうが上位進出を狙えるというカードだった。だから、どちらも「勝ち点3」が、ぜひ欲しかった。引き分けはどちらにとっても痛い結果だった。
 試合後の記者会見で、オシム監督は「両チームが満足し、両チームが嘆いてもおかしくない試合だった」と話した。満足したのは試合の内容について、嘆いたのは試合の結果についてだろう。

Aジュビロ復調の原因
 オシム監督は「ジュビロは調子を上げてきた。これから対戦するチームはたいへんだろう」と相手チームを持ち上げた。調子があがってきたわけは二つある。一つはケガ人が多かったために起用された若手の伸び。とくに、右サイドの太田吉彰は4試合連続で先発に起用され、速いドリブルで活躍している。磐田ユース出身の22歳だ。この日、のびのびとプレーした中盤の菊地直哉とトップ下の成岡翔はともに21歳である。
 ジュビロ復調のもう一つの原因は、足首のケガで2試合休んだ福西崇史が前節から復帰したことだ。ボランチとして中盤の守りのリーダーになり、攻撃の起点にもなっている。

B中山、名波の終盤出場
 ジュビロの中山雅史が後半24分から、名波浩が後半38分から出場した。前節は最後の10分足らず、2対0の状況での出場で「3点目狙い」という説明だったが、この日は0対0
だから「決勝点狙い」である。中山は出場後すぐシュートを狙い、右へ出てゴール前へいいパスを送るなど積極的にプレーした。38歳だが、まだまだ存在感がある。山本監督は、このこの日の2人の起用については「試合の終わりごろには、相手は(行き詰まりを打開しようと)いろいろなカードを切ってくる。そのときにベテランの力で対応できるようにと考えた」と説明した。でも、中山も名波も攻撃プレーヤーだから、山本監督の説明は、 よくわからなかった。

C巻のファウルは審判の問題?
 試合後の監督記者会見で、ジェフのストライカー、巻誠一郎が話題になった。「競り合いのときに、よくファウルをとられるが、どう思うか」という質問が出たのに対し、オシム監督は「それは巻の問題でなく、審判の問題だ」とまずジョーク。「本当は守っている相手のファウルの場合も、攻める側の反則にとられることはある。あれだけ体をはってプレーしている選手は、だれでも、そういう目にあう。巻は戦って競り合うだけでなく、技術的にずいぶん成長した。あとはドリブルだけだが、ドリブルはかなりの程度、生れつきのものだ。それぞれ、いいところを生かしてプレーすればいい」と高く評価した。ワールドカップ代表に選ばれるかどうかボーダーラインとみられているときだけに、巻の急成長は注目の的になっている。

 

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