[試合のメモ]
(Jリーグ第8節 ジュビロ磐田 3ー0 サンフレッチェ広島)
@開始22秒に先制点
試合がはじまったと思うまもなく磐田が先制点をあげた。これが試合のムードを決めた。 地元磐田のサポーターが活気づき、先発した若手の選手たちの気を楽にした。広島は今季不振で、まだ勝ち星がない。「きょうもダメか」と、ますます歯車が合わなくなった。
左から大きく右へサイドチェンジの長いパス。それを太田吉彰が受けたとき、右のディフェンダーの鈴木秀人が、全速力で右ライン沿いにオーバーラップして進出した。鈴木は太田からパスをもらうと、すぐゴール前へ大きなクロス。それが、そのままゴール左上隅に入った。
試合後に鈴木は「狙って入ったとは、とても言えない」と話したという。そうだとすれば、磐田にとっては「ラッキーな」先制点である。
試合後の記者会見で、広島の小野剛監督は「アンラッキーだった」と話した。しかし、入れられたほうが「アンラッキー」だったと言っていいだろうか。キックオフ直後の「油断だった」というべきではないだろうか?
A磐田の復調は本物か?
結果としては、3対0で磐田の快勝だったが、これで磐田が上位に復活へのきっかけをつかんだといえるだろうか?
磐田の攻めは、開始直後の先制点のパターンの繰り返しだった。大きなサイドチェンジからディフェンダーのオーバーラップ、そしてゴール前への長いクロスである。しかしゴール前へのクロスの精度は高くない。むしろ粗さが目立った。結局、この攻めからのゴールは、その後は生まれなかった。19分の2点目は、広島の守備のクリアミスが太田の前にこぼれ、太田が相手のディフェンダーの間を割って切りこんでシュートを決めたもの。太田のドリブルはよかったが、もともとは広島の致命的なミスである。
この試合の結果だけで、J1の上位を戦えるチームに戻ったとは言えないだろう。
磐田の収穫は中盤に入った若手がのびのびとプレーできたこと。太田は23歳。先発は今季3試合目。成岡翔と船谷圭史は22歳、ともに今季初先発だった。
広島は、佐藤寿人が前線で孤立していた。守備ラインの裏に抜けることを狙っていたが、オフサイドが多かった。
Bベテラン2人の交代起用
磐田はベテランの名波と中山を、後半38分すぎにあいついで交代出場させた。山本昌邦監督は「3点目とりににいくためだった」と言う。「3点目をもっと早くとりにいくべきだったけれど、若手には、そのための何かが足りなかった。名波と中山は、それをきちっと見せてくれた」と試合後の記者会見で説明した。中山は42分につぶされながら、太田にパスを出してチャンスを作り、名波はロスタイムに入ってからドリブルで進出したあと、太田にスル−パスを出して3点目をアシストした。結果は山本監督の説明どおりだった。
しかし、残り10分を切ってからの起用は「3点目を狙った」というより、「サポーターの期待に応えた」と言ったほうが、スタンドの雰囲気から見ればあたっている。ベテランの顔見せでファンの要望を入れながら、若手を伸ばしていこうという狙いだろうか?
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