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◆フリーキック


視覚障害者サッカーを観て         
(藤間 裕之 2005/2/19)

 神戸で第3回日本視覚障害者サッカー選手権を観戦した。仲間が参加していたこともあるが、どうしてもこの大会を見てみたいと思ったので、はるばる神戸にまで行った。

第1日目・予選リーグ

 大会は2005年1月22日(土)、23日(日)の2日間でおこなわれた。会場は神戸ウイングスタジアムに隣接するフットサルコート。
 参加チームはB2/B3(弱視)クラスが3チーム、B1(全盲)クラスが8チーム。B2/B3クラスは総当たりのリーグ戦で、B1クラスは4チームずつの2リーグに分かれ、上位2チームが決勝トーナメントへ進み優勝を争った。B1クラスリーグ戦表を見て気がついた。このリーグ戦の面白いところは、リーグ戦とは言いながら、他の3チームすべてと対戦するのではなく2チームとしか戦わないことにある。その勝ち点の上位2チームが決勝トーナメントへ進出する。(各リーグの3位同士による5位決定戦、4位同士による7位決定戦もある。)

 ここではB1(全盲)クラスに絞って大会の経過をリポートしたい。
 優勝候補は、東京の「所沢国リハとこちゃんず」と茨城の「つくばアスティガーズ」と言われていた。両チームには、宮島(とこちゃんず)、田村(アスティガーズ)と決定力のあるストライカーがいるからだ。田村は「ラッキーストライカーズ福岡」戦でハットトリックを記録した。結局、この2チームが順調に勝利して、決勝トーナメントへ進出した。そして予選リーグで勝利を続けた「大阪ダイバンズ」が戦術的に優れ、連携の見事なチームであることもわかった。活動歴の長いチームらしい。つくばと大阪は同じリーグだったが予選では対戦していない。この点が、完全な総当り戦とはちがうおもしろさである。決勝トーナメントが俄然楽しみになった。

【Aリーグの結果】
B.Cぴんきーず(千葉)対東京Nフリューゲルス(東京):1−0
所沢国リハとこちゃんず(東京)対プリティウェル(京都・神戸):2−0
所沢国リハとこちゃんず(東京)対B.Cぴんきーず(千葉):2−0
プリティウェル(京都・神戸)対東京Nフリューゲルス(東京):0−0
※決勝トーナメント進出は、「所沢国リハとこちゃんず(東京)」と「B.Cぴんきーず(千葉)」


【Bリーグの結果】
大阪ダイバンズ(大阪)対ハットトリック(東京):3−0
つくばアスティガーズ(茨城)対ラッキーストライカーズ福岡(福岡):3−0
つくばアスティガーズ(茨城)対ハットトリック(東京):1−0
大阪ダイバンズ(大阪)対ラッキーストライカーズ福岡(福岡):5−0
※決勝トーナメント進出は、「大阪ダイバンズ(大阪)」と「つくばアスティガーズ(茨城)」

第2日目・決勝トーナメント

 決勝トーナメント(準決勝、決勝)は1月23日(日)におこなわれた。
 対戦カードは、所沢国リハとこちゃんず(東京)対つくばアスティガーズ(茨城)とB.Cぴんきーず(千葉)対大阪ダイバンズ(大阪)となった。

 とこちゃんずとアスティガーズの一戦は互いに相手を知り尽くしたもの同士の、一分の隙もない試合となった。昨年の11月に東京でおこなわれた試合は6−3という撃ち合いのゲームだったが、この試合はまったく様相を変えた。両チームとも、とこちゃんずの宮島、アスティガーズの田村という大会を代表するFWに対するマークを徹底していた。緊迫した試合の中、とこちゃんずが1点をとり勝利。優勝へ一歩近づいた。
 続く、ぴんきーずとダイバンズの試合は鋭い攻めを見せるダイバンズが、守りを固めてカウンターを狙うぴんきーずを制して勝利。決勝へ進出した。

【準決勝の結果】
所沢国リハとこちゃんず(東京)対つくばアスティガーズ(茨城):1−0
B.Cぴんきーず(千葉)対大阪ダイバンズ(大阪):0−1
※決勝進出は、所沢国リハとこちゃんずと大阪ダイバンズ

 

 決勝は東西の雄の対決となった。決勝に限りそれまでとレギュレーションが変わる。正規の試合時間であるハーフ25分の前後半50分で戦うのである。準決勝までとは倍の時間で戦わなくてはならない。これまでの相手への対策以外に、自分たちのスタミナ配分も大切になってくる。
 試合前の予想では、ダイバンズの戦術がある程度固定されていたので、そこを押さえることで、とこちゃんずが勝つのでは、という見方が強かった。しかし予選からの大量得点で勢いにのるダイバンズが先制した。とこちゃんずの宮島を徹底マークし、シュートのかたちをつくらせず、そしてカウンターで先制点を奪ったのだ。とこちゃんずも反撃を試みるがなかなか上手くいかない。そして前半終了。とにかく点を獲らなければならないとこちゃんずは、DFを交代して守備を強化したうえで、田中、宮島ラインで攻めることを徹底した。そのかいあって、後半も厳しい守りを続けるダイバンズから同点ゴールを奪い、延長かと思われた終了間際に逆転に成功した。
 両チームとも決勝にふさわしい、大会のベストゲームを見せてくれた。あらゆるカテゴリーのサッカーを通してみても、こんなにも勝利に対する意欲に満ちあふれ、気持ちのこもった試合は滅多に見ることはできない。本当にいい試合だった。

【B1(全盲)カテゴリーの最終結果】
優勝:所沢国リハとこちゃんず(東京)
準優勝:大阪ダイバンズ(大阪)
第3位:つくばアスティガーズ(茨城)
第4位:B.Cぴんきーず(千葉)
第5位:ハットトリック(東京)
第6位:東京Nフリューゲルス(東京)
第7位:プリティウェル(京都・神戸)
第8位:ラッキーストライカーズ福岡(福岡)


 

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