チャールトン対ノーリッジ
〜小さな街のプレミアリーグ (2/2)
(原 晶彦 2004/12/30)
■試合開始
試合開始が近づくにつれて、一方的に元気なのはノーリッジ・サポーター。ゴール裏をぎっしり埋めたサポーターが、これがイングランドといわんばかりの野太い声で歌を繰り返す。チャールトンのサポーターはなぜか本当におとなしかった。
サポーターの声援に押されるようにノーリッジが攻め込み、チャールトンが速攻で応酬というかたちで、試合は始まった。深すぎるように見えたノーリッジのバックラインに対して、左サイドからのアーリークロスにJJが頭で合わせてチャールトンが先制!(買っておけば良かった!)さらに、JJが追加点を蹴りこみ前半は2-0でチャールトンがリード。後半も似たような展開だった。ノーリッジも2度ゴールネットを揺らしたがいずれもオフサイド。対して、チャールトンが速攻から2点を追加し、試合はついに4-0に。
それでも、ノーリッジ・サポーターは、日本のサポーターと違ってぜんぜんめげない。おとなしいチャールトンのサポーターに向かって、「お前らこんなに点が入っているのに応援できないのかい?(ここは推測)」 と立ち上がり、指をさし挑発する。チャールトン・サポーターも「弱いくせに何言っているの」と大きなジェスチャーで応酬。でも、その根底にあるのはユーモアのセンス。フーリガニズムを生み出すような敵意、憎悪はなく、本当にフットボールを楽しんでいる感じがした。日本のスタジアムにも相手を尊ぶという心が芽生えれば良いなあとつくづく思う。J2には少しあるかもしれないけれど・・・。
快勝の流れのなか、おとなしかったチャールトン・サポーターも次第に大きな声が揃ってきて、ノーリッジ・サポーターの応援と合わさり、イングランドのスタジアムの雰囲気そのものになってきた。自分が夢に描いてきたイングランドリーグが間違いなくそこにはあった。良かった。観戦できて、本当に良かった。
■footballを楽しむということ
たった1試合の観戦だったけれど、スタンドの雰囲気以外にもJとの違いをいくつか見つけた。
まず、ピッチとスタンドがとても近いこと。ピッチとの間の柵も低く、簡単にピッチに入っていけそうだ。警備員(といっても女性)が10m間隔くらいで立っていたけれど、もし悪意をもってなだれこんだら制止は不可能だろう。サポーターとの信頼関係が不可欠だ。
選手交代。日本では新しく入っていく選手に大きな声援が送られるけれど、プレミアでは戻ってくる選手に大きな拍手が沸く。感謝、ねぎらいのスタンデイングオベーションが素敵だ。
ボールボーイ。日本と同じように中学生くらいの子供たちがピッチを取り囲んでいる。日本では、決してピッチに入らないし、ボールを返す時も蹴っては返さない。厳しく言われているのだろう。プレミアでは試合が止まれば臨機応変にピッチに入るし、ボールはみんな蹴って返している。日本の子供たちもJリーグのピッチに入ってみたいだろうし、その上でボールを蹴ってみたいだろうに。なんで、日本はつまらない制限をつけるのだろう?
プレミアのスタジアムにはやはり自分が夢見たものがあった。きっと、それは心からFootballを楽しむ心なのだと思う。帰りの列車の中で、隣り合わせたノーリッジとチャールトンのサポーターが楽しそうにサッカー談義を始めていた。
Jリーグのスタジアムにも、良いプレーには拍手を、悪いプレーにはブーイングを、そして試合が終わったらねぎらいを。そんなふうにFootballを愛する人たちが増えればうれしいと思う。でもチャールトンは創設100周年。Jリーグには、まだまだ歴史の積み上げが必要かな?
>>> チャールトン公式サイト
ノーリッジ公式サイト
プレミアリーグ公式サイト
<筆者紹介>
原 晶彦
さいたま市在住の会社員。ビバ!歴2年強。1968年のメキシコ五輪時代からのオールドサッカーファン。住居は旧浦和市であり当然レッズファン。ただし、ファンとしてのルーツは日本代表であり、憧れはイングランドフットボール。
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