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◆フリーキック


2004ナビスコカップ決勝
FC東京サポのチケット争奪戦記
 (2/2)         
(宇都宮みちこ 2004/11/12)


FC東京からのお知らせ

 帰宅すると、疲れがどっと出た。とても眠かったので横になったが、チケット獲得の喜びから興奮状態にあったため、なかなか寝付くことができなかった。
 そのうち、携帯に一通のメールが届いた。私と同じ、FC東京の自由席SOCIO会員である友人からだった。
 「ソシオの方へ。チケット優先販売について、クラブ側よりなにか発表がある模様。複数より情報あり」
 私はあわててパソコンを起動し、FC東京オフィシャルサイトを開いた。ほどなく、Newsがリリースされた。10月16日13時。チケットが完売してから2時間以上がたっていた。
 
SOCIO会員のみなさまへお知らせ【重要】
2004Jリーグヤマザキナビスコカップ決勝戦 チケット特別販売について:自由席ご購入SOCIO会員のみなさまに対し、標記ご案内をメール便にて10月16日(土)に発送いたします。内容は、お受け取り後ご確認願います。なお、10月20日(水)までに到着しない場合は、クラブあてお問合せください。

 一瞬、意味がわからなかった。FC東京系のネット掲示板をのぞくと、ものすごい量の書き込みがなされている。みな、事情がわからず戸惑っていた。
 「やったぞ、さすが東京のフロント!」
 「なんで、今さら。さっきまでの苦労はなんだったんだ!」
 「でも、全員購入できるとは限らないのでは?」
 落胆後の歓喜、安堵後の驚愕。受けとめ方はさまざまだった。
 2日後、メール便が届いた。中身は「チケットの確保ができましたので、16日にご購入できなかった方、さらに追加ご購入される方につきましてご案内させていただきます」というものだった。

 SOCIO全員分のチケットが用意された。私のように、一般販売でなんとか獲得できた人間にとっては、必要のないチケットだった。しかし、購入を見送ればキャンセル分として一般販売にまわり、浦和サポーターが手にする可能性があった。過去2年の真っ赤なスタジアムの記憶が、脳裏に焼きついていた。あんなのはイヤだった。初めての決勝戦、FC東京の選手たちには(チームカラーの)青赤に染まるスタジアムで、戦ってもらわなければ。せめて、少しでも(浦和サポーターの)赤い部分を狭くしてあげたい、そう思った。
 FC東京を応援したくて「チケットを譲ってほしい」という人はたくさんいた。「私のチケット」は無事に同志の手に渡り、12番目の選手が一人増えた。


チケット販売のむずかしさ

 最後の最後になっての「自由席SOCIO優先販売」の発表は、ナビスコカップの準決勝、東京ダービーでの延長Vゴール勝ちを彷彿とさせるような出来事だった。嬉しかった。嬉しかったが、なぜもっと早く、決まらなかったのだろうか。
 「チケットの枚数が揃わず、ギリギリまでフロントが奔走していた」
 「決勝進出が決まったので、敗れたヴェルディからチケットを譲り受けた」
 「優先販売があるとわかっていると、一般販売で努力しなくなる。スタジアムの青赤比率を少しでも上げるために、わざと発売後に告知した」
 さまざまな憶測が飛びかった。

 ナビスコカップ決勝戦のチケットが、クラブ単位で優先販売されるというのは、今年が初の試みだった。初めての決勝進出で、ここまでやってくれたクラブに、私は素直に感謝したい。FC東京が決勝進出を決めたのは、チケット発売の2日前の水曜日、それも21時過ぎだった。そこから自由席SOCIO全員分のチケット枚数を確保し、販売システムを構築し、メール便を発送する。すべての準備を終えた後の告知が、土曜日の13時。こう考えると、本当にぎりぎりの時間だったのではないだろうか。

 では、年間チケットを所有していないサポーターや、一般のサッカーファンはどう感じているだろうか。SOCIOでなくとも毎試合、スタジアムに足を運び、応援を続けているサポーターは大勢いる。また、特定のクラブを応援しているわけではないがJリーグに足しげく通い、タイトルのかかった一戦を見たい、というサッカーファンもいる。そういった面々は優遇されなくともよいのだろうか。議論の余地は十分にある。2002年ワールドカップのときのような、入場券の半券を使ったサポーター枠の設定や、一部のファンクラブにあるようなスタジアム来場ポイント制度などを利用しての優先販売などがあってもよいかもしれない。また、決勝のカードによっては、チケットがあまってしまうということも十分に考えられる。いずれにしても今回の両クラブの試みは、来年以降のチケット販売方法を考える上で、Jリーグやクラブに大きな影響を与えることになるだろう。

 私はといえば、来年もまたチケット争奪戦に参戦できるよう、ひたすらFC東京を応援するばかりである。


ナビスコ決勝・FC東京サポーター
チームカラーに染まった東京サポ・スタンド(決勝戦・選手入場時)

<筆者紹介>
宇都宮 みちこ
東京都在住のフツウのOL。ビバ!歴2年。FC東京SOCIOになったのをきっかけに、東急沿線から京王沿線に転居。ホームゲームの参戦率は90%超。

 

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