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サッカーマガジン 2004年5月18日号
ビバ!サッカー

ジェフにからむ三つの提案

 ジェフユナイテッドの広域化と呼称問題を、もう一度、取り上げる。つまり4週連続だね。われながら、しつこいな。
 でも、ひょっとすると、これは「ジーコ・ジャパンは大丈夫か」という論争よりも、「アテネでメダルを」という期待よりも、日本のサッカーの将来にとって重要な問題かもしれないのだ。なぜって地域とサッカーがどう結びつくかは、日本にサッカーが根を下ろすかどうかの問題なんだからね。
 これまでに書いたことを総括して、ぼくの提案を三つにまとめてみる。
 第一に市原市に千葉市を加えたチームの名称は、とりあえず「ジェフユナイテッド市原・千葉」でいい。いろいろ知恵をしぼった末の案だろう。これを白紙に戻して再検討するには、時間的にも余裕がないに違いない。
 しかし、呼び名を「ジェフユナイテッド千葉」とするコソクな案は撤回してもらいたい。正式名祢のほかに「呼称」をJリーグで承認する必要があるのだろうか?
 第二に、これは将来の問題だが「ホームタウン」の概念をはっきりさせる必要がある。 
  今回のような広域化が認められると、ホームタウンは市町単位ではなくなる。もともとホームタウンは、それぞれの地域によって考え方を変えなければうまくいかない。FC東京や東京ヴェルディのホームタウンは東京都全体で、名古屋グランパスエイトの勢力圏は愛知県でなく名古屋市だけだということになると、同じ大都市であっても、バランスがとれない。
 ぼくの考えでは、本拠地域の範囲は都道府県単位が現実的である。一つの都道府県から二つ以上のチームが出てきた場合には当事者にその都道府県のサッカー協会を加えて縄張りを決めてはどうか。
 第三に、ホームタウンを安易に移したり広げたりしないでもらいたい。
 ジェフが市原市でうまく経営できなければ、クラブがつぶれるのが本当じゃないか。千葉市にチームがほしければ、千葉市民が立ち上がってクラブを作り、強くするのが筋ではないか。
 株式会社であるサッカークラブが、空から地域に舞い降りてきて、地域の税金を運用している自治体に協力を求め、うまくいかないと「はい、サヨナラ」では身勝手である。
 考えてみると、J1の16チームの中で企業のチームが舞い降りたのではないクラブは清水と新潟と大分だけである。日本のサッカーがホンモノになるのは、まだまだのようである。あと百年かかるから「百年構想」というのだろうか。


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