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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年12月19日(火)

FIFA Club World Cup Japan 2006
◆中身のある3位決定戦◆
(12月17日、アルアハリ 2−1 クラブ・アメリカ)


★母国のサポーターを意識
 多くの大会では、3位決定戦は迫力のないものになる。準決勝で負けたチーム同士。どちらも優勝できなければ、3位も4位も同じという気持ちだからである。
 しかし、クラブ・ワールドカップの3位決定戦は、中身の濃いものだった。決勝戦の前座だったが、独立に行っても十分に見るに堪えるものだっただろう。
 両チームが意欲を燃やして、いい試合をしたのは、一つには、テレビ中継を見ている母国のサポーターを意識しているからである。エジプトのアルアハリも、メキシコのクラブ・アメリカも、それぞれ母国で、もっとも有力で、大勢のサポーターを持つ。世界の舞台で一つでも勝てば、カイロあるいはメキシコでは、町中がお祭り騒ぎになる。
 さらに、アフリカ対中米の地域対抗の意味もある。欧州と南米は別格とすれば、この3位決定戦は、いわば世界サッカー2部優勝決定戦だった。
 
★アブートリカを生かす
 アルアハリは、闘争心も十分だったし、作戦もよかった。
 一人をスイーパー気味に置いた3人のストッパーでゴール前を固め、両サイドのプレーヤーで、相手の両翼を押さえる守りの布陣である。
 攻撃は、トップ下に置いたエースのアブートリカを徹底的に生かす狙いだった。アブートリカがポストになって前線へボールをさばき、あるいは単独ドリブルして逆襲した。
 前半終了近く、アブートリカのドリブルをクラブ・アメリカのディフェンダーが、イエローカードをもらう反則で止めた。その約25bのフリーキックを、アブートリカが直接、左隅に叩き込んだ。
 そのあと、ボランチが、前線から下がってくるプレーヤーと連係して動き回って、かきまわすようになった。リードした後に、かえって積極的になったのがよかった。
 
★エジプトも過密日程
 クラブ・アメリカは、後半から攻めの組み立て役に起用したブランコが起点になって、後半14分に同点に追いついた。しかし、アルアハリは後半34分に、アブートリカがフラビオとのワンツーで中央突破して決勝点をあげた。
 ポルトガル人のマヌエル・ジョゼ監督によると、アルアハリは「昨年よりちょっと欧州風になった」そうだ。
 国内のサッカー事情も、欧州に似て過密日程になっており、いま国内リーグのシーズン真っ最中。日本へ来ている間に、ライバルチームが3連敗しているので、優勝の望みが濃くなっているが、帰国したら、自分たちが3日おきに4連戦しなくてはならないという。
 欧州、南米以外の地域のサッカーに、ぼくたちが目を向ける機会になったのは、このクラブ・ワールドカップの一つのプラスだろう。

 

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