【ブラジルサッカー通信<1>】
ホナウドの天才を見る
(サンパウロ選手権・決勝第1戦 4月26日 サントス)
<文・写真 手島直幸(ブラジルに出張中) 2009/5/24>
◆アウエーの試合をテレビ観戦
ロナウド(ポルトガル語は最初のRをHで発音するのでホナウドという)が、後半26分と32分にゴールを決めてコリンチャンスが3対1で勝った。試合の結果を何度も何度も放映している。解説者は奇跡的だとか信じられないと最大級の賛辞を叫んでいる。(ポルトガル語はよくわからないけど英語と似た言葉もあるので、たぶんそのような意味だろうと思う)
2009年サンパウロ州選手権(パウリスタ杯)の決勝、コリンチャンス対サントスの第1戦がサントスのホームで行われた。
滞在中のサンパウロから、サントスはそれほど遠くないが、今回はホテルでテレビ観戦するしかなかった。切符は通常の2倍(一番安い席で80R$=4000円)の定価だったが1週間前に売り切れ。2万人ほどの小さなスタジアムのためダフ屋から買うことも難しいといわれたためだ。
ナマで見られなかったのは残念だが、よい場面を録画で何度も見られるテレビ観戦も捨てがたい。中継のはじめにペレが見に来ているのが映されていた。ペレはサントス出身だからだろう。アウエーのコリンチャンスのファンには、全体の10%の席しか割り当てられていないはずだが、テレビではコリンチャンス・サポーターの興奮した様子が映し出されていた。
◆ホナウド、絶妙のトラップ
前半の攻防は緊張感にあふれていた。
前半10分コリンチャンスの主将シカンがペナルティエリア外側のFKを直接決めて1対0 と先制した。サントスバックスの壁の作り方に問題はなかったのか?
25分にハーフラインあたりで主将のシカンが、ボールを奪うとホナウドへ大きなロビング。ホナウドはワンタッチでバックを振り切り、ゴールを決めた。ワンタッチでシュートの態勢にした絶妙なトラップに、ホナウドの天才を感じた。テレビのアナウンサーは、「ゴーーーーール!」の絶叫。
2対0 にされたサントスは、前半終了前に決定的な機会を2度も3度も作ったが、いずれもはずした。運がないという感じだった。
◆後半にもホナウドの芸術的ゴール
後半はサントスが押し気味だが、コリンチャンスは余裕を持って対応。サントスは15分にフォワードのツゥリグニョが左サイドから切り込んでゴール前に低いセンタリング、そのボールがキーパーにあたってゴール。2対1となりサントス観衆は大興奮。
これでサントスががんばるだろうと思い、サントスの10番マドソンがペレとかロビーニョの再来といわれているので注目したが、ゴールは決まらない。しかし、ドリブルで切り込んでいく力と周りがよく見えているパスは世界クラスだと思う。これからも注目し続けていきたい。
31分再びコリンチャンスのホナウドの芸術的ゴールが決まる。オフサイドぎりぎりの位置にいたホナウドにボールが出た。ホナウドは右足でボールを受けて裏側にまわして左足の横に置いた。ボールを受けてからシュートを打つまでの一連の動きが1点目と同じように天才そのものだった。そして出てきたキーパーの頭越しにチップキックで柔らかな曲線のシュート。ビデオで繰り返しみると、バックスやキーパーだけでなく、味方のフォワードも予期できない創造性あふれるキックであることがわかる。
これでサントスはあきらめた感じで試合終了。アウエーでの3対1はコリンチャンスにとってすばらしい結果だ。勝利が決まったとき、サンパウロのホテルにいる私の耳には周りから歓声が聞こえ、遠くで花火が上がるのが聞こえた。
コリンチャンスのホームのパカエンブーで行われる決勝最終試合の切符もすでに売り切れということだが、今度は現場に行って雰囲気を楽しみたい。
新聞は、3点目のゴールと「王様(Rei)ホナウド!」という見出し
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